出版社内容情報
「建築」とは「強・用・美」である。
この言葉は、古代ローマの建築家であるウィトルウィウス(Vitruvius)のものです。彼が2000年以上前に著した、現存する最古の建築書『建築について』に記載されています。建築を学んだことのある人なら一度は耳にしたことがあるはずです。
「強・用・美」とは何なのでしょうか。
非常に単純化して言えば、「建築は重力や地震で壊れてはいけないし(強)、使いやすくて快適でないといけない(用)。また、見た目に格好よくないといけない(美)。そして、のうちどれかが欠けてもいけない」ということです。本質を突いた簡潔な表現であるため、2000年以上経った現在でもよく言及されています。
日本は地震や台風といった自然災害の多発地域です。日本の建物はこれらの自然災害に耐えられる構造となっていなければならず、「強・用・美」の中でも「強」への意識が強いと言えます。
「強」を実現するためにどのような構造を採用するかは「建築」という行為における主要な検討項目であり、建物の形状にも大きく影響をおよぼします。そのため、建物の構造を知ることは「建築」を知ることにつながるのです。
本書は、「強・用・美」の中の「強」を担う建物の構造を通して「建築」への理解を深めてもらうことを目指して書かれています。「用・美」も建築を構成する重要な要素ではありますが、どちらも建物を形づくる「強」がなければ成り立たないからです。
「建築」に関する多くの本が「美」を担うデザインの視点から書かれていますが、「強」を担う構造を通して理解するという一風変わったアプローチを取ることで、あなたの知らない「建築」の世界が垣間見えるでしょう。本書を読み終わったとき、あなたの常識が幾ばくか変わること、そして「建築」の見方が変わることを約束します。
内容説明
建築が本来持つ、もっと幅広い魅力を、「強」を担う構造の観点から伝えることはできないか。それも建築を志す人たちだけではなく、一般の方にもわかるかたちで。それこそが本書が書かれた理由です。
目次
第1章 建築とは、○○である
第2章 建築とは、期待外れである
第3章 建築とは、間違いだらけである
第4章 建築とは、テキトーである
第5章 建築とは、予想外である
第6章 建築とは、想像と創造である
第7章 建築とは、未来である
第8章 建築とは、最高である
著者等紹介
バッコ博士[バッコハカセ]
構造設計一級建築士・京都大学博士(工学)・コンクリート主任技士。耐震工学のエキスパート。専門は超高層ビルの振動制御。京都大学工学部建築学科卒業、同大学院修了。大手建設会社にて構造設計および開発業務に従事。電波塔から超高層ビルまで、免震や制振も含め、幅広い建物を担当。考案した独自の構造システムが超高層ビルに適用されている。免震・制振に関する特許出願20件超。戸建て住宅にも造詣が深く、ブログ『バッコ博士の構造塾』にて「地震に強い家づくり」のための情報を発信(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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田中峰和
さみこっこ
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