内容説明
原油価格の高騰で中東諸国が手にした膨大な「オイルマネー」は、「イスラム金融」を急速に拡大させている。非イスラム圏の欧米・アジアでも需要は高まり、日本も無関係ではいられない。拡大している背景、金融の仕組み、市場の実態・動向などを分析する。
目次
序章 急速に拡大し始めたイスラム金融
第1章 イスラム金融の基礎知識
第2章 イスラム銀行の実態
第3章 イスラム金融市場の実態
第4章 イスラム債券市場の実態
第5章 イスラム金融拡大への取り組み
第6章 日本におけるイスラム金融の展望
著者等紹介
糠谷英輝[ヌカヤヒデキ]
1960年東京生まれ。1983年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。東京銀行入行。調査部、ドイツ東京銀行勤務、キール世界経済研究所客員研究員等を経て、1996年財団法人国際通貨研究所に出向(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kentaro
4
イスラム金融は一言で言えば、利子を使わない金融であるが、利子を回避する手段として、粗利を上乗せすることにより、売買取引としたり、リース方式、信託方式、投資としての出資方式を用いて、投資後の利益を配当する方式などが各種存在する。 イスラム金融の性格は投資的な色彩が強いため、ハイリスク、ハイリターンであるとも言える。 高水準の原油価格で多額のオイルマネーを手にした中東産油国、増加する貧困から脱出してきたイスラム教徒、さらにはイスラムマネーを活用したい非イスラム教徒によるイスラム金融の活用も拡大してきている。2018/09/16
葉
1
資産規模が120兆円あるイスラム金融は一言で言えば、利子を使わない金融であるがら投資色が強いため、ハイリスクハイリターンであるとされている。9.11からイスラム回帰の傾向があり、中東諸国にオイルマネーが流入しており、GCC諸国に資金需要が高まり、イスラム金融のスキームとしてムラーバハ、イジャーラ、ムダーラバ、ムシャーラカについて仕組みを通じて説明しており、図表も多く取り入れ、ブローカーとイスラム銀行、マレーシア中央銀行との関係を見ている。2014/09/06
ロバーツ
1
イスラム金融の概要を知る上で有益な本。わかりやすいことが特長です。2014/03/11
天下つむじ大将軍
0
近年急速な拡大を見せるイスラム金融の実態を簡潔にまとめた本。非常に複雑なシステムをよくまとめてあると思う。しかし内容は教科書的でいささか退屈、目が文字の上を滑ってしまった。イスラムの予備知識はなくとも読めるが、金融の予備知識がないと楽しめないんじゃないかな。2013/02/11
Kentaro
0
ダイジェスト版からの要約 ムハンマドは預言者となる前は貿易商人で、イスラム教の聖地メッカは当時、アラビア半島の商業・金融の中心地であった。この事はイスラム教の基本原則、特に経済・金融に関わる基本原則に色濃く反映する。イスラム金融の最大の特徴は利子(リバー)の禁止である。このためイスラム金融は無利子金融とも呼ばれる。しかし、この利子をどのように解釈するかは、イスラム法学者によって一様ではない。あらかじめ定められた利息を指すとする法学者、過剰な利息に限定されるとする法学者など様々で、一致した見解は存在しない。2018/07/25