内容説明
本書は、精神分析の視点によるブリーフセラピーの概説書である。ロンドンのタヴィストック・クリニックにおいてマランの指導を受けた著者が、その基本的な考え方を簡潔な理論化と臨床事例の紹介により解説していく。週1回約3~40セッションで終結を考える臨床技法は、まさに日本の心理臨床事情にフィットしている。セラピスト、カウンセラーの現任者はもとより、学生をはじめ、これから精神分析を学ぼうとする人への基本の書。
目次
第1章 生活のなかの時間と心理療法のなかでの時間(時間概念の形成と時間感覚;時間感覚はいかにして発達するか ほか)
第2章 ブリーフ・ダイナミック・サイコセラピー(精神分析的なセラピーには何が必要なのか;境界と治療的空間 ほか)
第3章 破壊的怒り、癒しの怒り、分離への衝動(概観;破壊的怒りとは何か ほか)
第4章 最終目標と中間目標、当面の目標―ブリーフ・ダイナミック・サイコセラピーとその他の分析的サイコセラピーの目標設定(セラピストの中立性;完全ということ:神経症的ゴールあるいは目指すべき理想 ほか)
著者等紹介
モルノス,アンジェラ[モルノス,アンジェラ][Molnos,Angela]
1923年ハンガリーのブダペストで生まれた。戦争中イタリアの地下活動で闘い、ボローニャ、パデュア、ベルリンのフリー・ユニバーシティにおいて現代言語学と哲学、心理学を学び、心理学において博士号を取得した。1950年代の主な興味は国民的なステレオタイプや偏見の研究にあった。イフォ経済調査研究所(ミュンヘン)の代表として、後にはフォード財団のプロジェクト特別研究員として、1960年代は東アフリカにおける社会心理学的な調査をおこなった。1973年、ロンドンに生活の場を移した。そこで、ブリーフ・ダイナミック・サイコセラピーの研究をおこない、グループ・アナリストとしての資格を取得した。とりわけブリーフ・ダイナミック・サイコセラピーの業績で著名である。とくに、そのプロセスを表現するために4つの三角形を用いて視覚的なわかりやすい図を案出したこと、また明確で簡潔な公式化をおこなうことで知られている
村尾泰弘[ムラオヤスヒロ]
1981年横浜国立大学大学院修士課程修了。家庭裁判所調査官を経て、現在、立正大学社会福祉学部助教授、臨床心理士。専門領域は臨床心理学・犯罪心理学・家族心理学
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