内容説明
ヤスパースは精神病理学者、実存哲学者として知られているが、彼の哲学をどのように解釈すれば教育哲学として捉えることができるのか、また、教育学説史のうえで、どのような位置づけがなされるのだろうか。本書は、実存的教育哲学の可能性はボルノーのヤスパース解釈にではなく、ヤスパース哲学そのものの研究に還る必要があるとの問題意識から出発し、4部構成において、まずボルノーの教育思想の特徴と限界を考察し、つぎにヤスパースの教育哲学について省察を加え、ボルノーを越える実存的教育哲学の根源性がヤスパース哲学に内包されていることを明らかにする。そして同時に、ヤスパース教育哲学のなかに新たな教育目的論の再構築の可能性を探り、今日の教育現実に対して彼の教育哲学から学びうるものは何かを探求していく。
目次
第1部 ボルノーの教育思想(ボルノーの教育学の立場;教育の非連続的形式 ほか)
第2部 ヤスパースの教育思想(ヤスパースの実存哲学;限界状況と人間形成 ほか)
第3部 ボルノーの実存主義克服とヤスパースの包括者の思想(ボルノーの実存主義克服;教育的雰囲気 ほか)
第4部 ヤスパース教育哲学の性格と実存の交わりによる教育(ヤスパース教育哲学の性格;実存の交わりによる教育 ほか)
著者等紹介
豊泉清浩[トヨイズミセイコウ]
1957年東京都生まれ。1979年中央大学文学部哲学科教育学専攻卒業。1985年青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻修士課程修了。1988年青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程標準年限満了退学。2000年青山学院大学より博士(教育学)の学位を授与される。現在、浦和短期大学助教授
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