内容説明
近年、保健活動はヘルスプロモーションに見られるように、地域住民の思い(主観性)を重視する方向へと発展している。一方、福祉活動においてもノーマライゼーションは対象者の思い(自立性)の重視が基本である。ここに地域保健福祉という理念の根拠がある。とはいえ、地域保健福祉の実践はさまざまな要素が絡み合う複雑な活動であり、そう簡単に割り切れるものではない。本書で提起したのは、複雑な事象を無理に単純化してしまう誤りをおかさないための分析法である。その意味で、地域の保健福祉の従事者が日頃の貴重な体験を客観化し、分析し、表現することに役立つものと考える。また、本書で述べた地域保健活動の展開は「生活者としての多様性を持つ個人と地域社会(コミュニティ)をつなぐ」という今日的な課題に寄与するものでもある。保健・福祉・医療にかかわる人のための基本書。
目次
第1部 地域保健福祉の課題(受け手の視点からみた日本の看護と介護;行動科学による看護と介護の分析 ほか)
第2部 地域保健福祉の理論(地域住民の意識、生態疫学と環境倫理学;保健と福祉における目標の対応関係と共通する実践理念)
第3部 高齢者の自殺と地域特性(高齢者のうつ病と社会状況;高齢者の自殺における精神医学と社会学の接点 ほか)
第4部 地域保健福祉とグループ活動(検診受診率に影響する集団という要因;地域保健福祉のグループ活動の2事例 ほか)