内容説明
本書は、従来の社会学的および経済学的アプローチによる生活の諸理論を現実との関係において吟味・検討することによって、現実の二つの生活の底にみられる異なった生活の流れの存在とその構造的把握の課題を明らかにする。そして、現代思想とりわけ構造主義、ポスト構造主義の諸理論における「構造」概念および「構造的把握」の方法を考察し、それとの関係でみた場合に、現代の最も代表的な社会学者ピエール・ブルデューの「反省の社会学」の方法がもつ、注目すべき意味と意義とを明らかにする。その上で、ブルデュー理論に学びつつ、現実の生活の二重性を、多元的にかつ重層的に把握する「生活の構造的把握」の枠組を提示しながら、生活問題の理論的、実践的解決のための新しい生活構造論として「生活の構造的把握の理論」を提出するものである。
目次
序章 生活の理論の問題とその課題
第1章 社会学的生活構造論
第2章 生活過程論
第3章 経済学的生活構造論
第4章 生活の構造的把握の理論