もうひとつの声―男女の道徳観のちがいと女性のアイデンティティ

もうひとつの声―男女の道徳観のちがいと女性のアイデンティティ

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  • サイズ B6判/ページ数 311p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784761003302
  • NDC分類 150.4

内容説明

本書は、1983年のアメリカ教育研究学会出版賞を受賞し、1984年度『Ms.』誌の“ウーマン・オブ・ジ・イヤー〓に選ばれた、ハーバード大学の女性心理学者キャロル・ギリガンの話題の書の全訳である。心理学や文学、著者自身の研究データにあらわれる男性と女性のそれぞれ異なる声が、どのような意味をもつかを論じ、女性が従来の人間の発達理論からはみ出すという事実は、女性の発達に問題があるのではなく、主として男性の視点で研究されてきた実験・調査や理論が普遍性を欠いているからだとするその指摘は、出版されるとたちまち注目され、各地でシンポジウムが開かれ、現在ヨーロッパ各国で翻訳出版されて反響を呼んでいる。新しい時代の人間認識の必要性を力強く提唱する書。

目次

1 男性のライフサイクルのなかでの女性の位置
2 人間関係のイメージ
3 自己と道徳の概念
4 危機と移行
5 女性の権利と女性の判断
6 成熟の姿

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Olive

8
ケアの倫理の名著だ。今は絶版である。 ピアジェ、フロイトなど心理学者の研究に女は存在しない。男の研究だけから引き出されたデータを男の手によって解釈したものだ。成長の道筋を男の生き方のイメージにそって行うことで、女性の経験者を追跡できない欠点をもつ。ギリガンは、ピアジェの発達理論は女性を含めて理解され、また女性自身の言葉で描かれる必要性をとく。「もう一つの声」とはそういう意味だ。 中絶をめぐる意見は、女性の責任と人間関係の理解を露わにする。自己犠牲、自己放棄の倫理に取り組む過程から権利の意味が変化していく。2022/06/13

素人

4
著者らが男女の被験者に絵を見せて自由に物語を作ってもらう実験を行ったところ、男性は親和状況を示す絵に暴力のイメージを投影する傾向があったという(66-72頁)。実験結果自体に大きな驚きはないが、こうした「男性らしい」感じ方はやはり異様だと思う。2021/08/18

抹茶ケーキ

2
それまでの道徳発達の心理学(ローゼンバーグ、ピアジェ、エリクソン)が男性中心の価値観を前提としていたことを批判し、より高次の道徳発達段階として「ケアの倫理」を提唱。全面的に正しいと思う。心理学だけではなく自律的な個人を前提とするほとんどすべての倫理学に対しても批判となりうる気がする。ただ発達を段階的に把握する理解の仕方が正しいのかには疑問が少し残る。2015/12/11

saku_taka

1
名著として名高いギリガンによる著作。それまでの道徳研究が見過ごしてきた論点――ケアに関する道徳をあざやかに描写する。2015/11/01

ロビンソン

1
課題のために読んだが、思った以上に深い内容だった。従来の倫理観は男性視点からしか語られず、女性視点を考慮せずいたと言う洞察はなるほどと思った。飛ばし読みだったので機会があれば再読したい。 2011/01/17

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