内容説明
本書は、精神医学的、心理学的な問題の理解とその治療に対する認知行動療法からのアプローチの展開の中心となる部分を明らかにすることを目的としたシリーズの第1冊目となるものである。この領域で働く人々が認知行動療法の発展の鍵を明らかにし、そうした傾向がよいかどうかを判断する材料を得るための場を提供するところに本書の目的があると言えるだろう。そのため各著者には、ご担当の領域における知識をしぼり込むようにお願いした。研究や治療の戦略に関する情報の提供は求めたものの、広く文献を展望することは求めていない。また、各著者にはそれぞれの著者なりの意見を求め、価値のある判断と(あるいは各著者の現在の仕事の中に暗黙のうちに含まれている)考え方を明確にするようお願いした。さらに、最近の傾向を批判するとともに、各領域に関心をもつ読者に広く影響を及ぼすことができるよう、今後の方向性について何らかの示唆を提供するようお願いをした。
目次
1章 認知療法と行動療法の動向
2章 信念によって動機づけられた回避行動―認知‐行動論争の一つの解決
3章 社会恐怖、回避性人格障害および対人不安の多軸的概念化
4章 人格障害と意志―分裂病型人格障害への認知神経心理学的接近
5章 アルコール問題から脱却する隘路としてのコントロール
6章 ギャンブル行動における認知的パースペクティブ
7章 認知行動理論と認知行動療法における情動の扱い方
8章 幻覚と妄想に対する認知行動療法―実践の現状と将来の動向
9章 子どもの心的外傷後ストレス障害