出版社内容情報
井手正和[イデマサカズ]
著・文・その他
内容説明
最新の脳科学研究と当事者の言葉やアートから、感覚過敏や感覚鈍麻をはじめとするASD者の知覚・感覚の世界を解明。その多様な姿から「感覚とは何か」に迫る。
目次
序章 なぜ、いま自閉スペクトラム症の「感覚」なのか?
第1章 感覚の基礎
第2章 自閉スペクトラム症者の感覚の特徴
第3章 自閉スペクトラム症者の感覚処理特性のモデル
第4章 ASD者の感覚特性の定量化
第5章 ASD者の感覚特性に関連する脳内基盤
第6章 過剰な刺激の時間分解能と感覚過敏
第7章 個性的な感覚をもつ人たちの世界
第8章 今後の科学的研究の展望
著者等紹介
井手正和[イデマサカズ]
国立障害者リハビリテーションセンター研究所脳機能系障害研究部研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
105
ASDの感覚の過敏さが定型発達と如何に違うか、膨大な研究の結果明らかにされたことを纏めた一冊。文章がね、分かりにくいのよ。読みにくいのよ。書き慣れてない人の文だわ。だが、ASDの音や光の解像度の細さたるや、それは障害ではなく才能でもあると気付かされる。世界が全て粒の集まりに見える…、あ、草間彌生。そうか坂口恭平の常人離れした光や音の解像度の高さも説明がつくなあ。知覚が過敏過ぎる故に疲れやすいので、配慮が必要という結論にも納得がいく。色んな才能を持った人が生きやすい社会であるようにとの思いが伝わってくる。2023/02/08
tom
20
臨床心理学と実験心理学、臨床心理学の方がエライと思い込んでいた。実験心理学は、ネズミ相手に何かをしていて、いかにも怪しいという感じ?か。でも、そうではなかった。実験心理学はすごいと驚くばかり。ASDの人と定型発達の人の感覚の違いは、脳みその働きとリンクさせて説明できる。そして脳みそは自分勝手だから、結果として出て来るものがスペクトルになる。なるほど、そうですかと。音やリズムについても、ASDの分解能は高くて、細かく聞き分けることができるなどなど、ASDならではの有利なポイントも多々。素人に分かりやすい本。2023/04/06
ひろか
19
これは素晴らしい本です。基礎研究がベースなので難しい部分も多いが、研究者として素敵だなと感じる。 ASDの感覚世界に真摯に向き合っておられます。 おすすめ2022/08/20
hana@笑顔満開のわくわく探索人
9
自閉スペクトラム症について、こんなに脳科学研究が進んでいると知って、驚いた。私の娘も自閉スペクトラム症で、独特な知覚や感覚をもって生活している。娘の様子を思い出しながら読み、「あのときのあれは、そういうことだったのか!」と科学的に繋がることがいくつもあった。いつもイヤーマフをして、こちらの感覚に合わせてくれてありがとう、って思った。2022/09/18
じゃがたろう
4
感覚特異性に関して基礎研究を引用しながら論じる書籍は貴重だと思う。基礎研究をもとに論じるため理解が及ばないところもあるが、説得力がある。これまで感覚的にこうだろうなと推測されていたことが基礎研究の結果からうかがえるようになるということ。素晴らしい。当事者の自己防衛だけでなく多様性の理解やカスタマイズできる環境調整が当たり前になるとよい。2023/08/11