内容説明
「コミュ障」って、なんだ?自閉症のコミュニケーション障害について長年研究・実践をしてきた著者が、「コミュ障」の理解と支援について、分かりやすく解説する。
目次
「コミュ障」とはなにか
「コミュ障」という生きづらさ
教師たちが見た子どもの「コミュ障」のさまざま
コミュニケーションの成り立ち
「コミュ障」の成り立ち
意外に見つけにくい「コミュ障」―字義的解釈の場合
なぜ文字通りだったり文字通りでなかったりするのか?
「コミュ障」リスクを短時間で判定するには?
子どもの「コミュ障」を大人は補償している―対応のヒント
「コミュ障」を責める大人、責めない大人
「コミュ障」な子どもと定型発達の仲間とのかかわりあい
「コミュ障」との付き合い方
「コミュ障」な大人が見た子どもの「コミュ障」
著者等紹介
大井学[オオイマナブ]
京都大学教育学部教育学科卒業、京都大学大学院教育学研究科博士課程教育方法学専攻中退、博士(教育学)京都大学。愛媛大学教育学部助手・講師、金沢大学教育学部助教授・教授。九州大学大学院人間環境学府客員教授を経て、金沢大学子どものこころの発達研究センター特任教授。日本コミュニケーション障害学会常任理事、理事長、機関誌編集委員長、日本特殊教育学会理事、日本発達心理学会理事等を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みーあ
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★3.5 初見ほどの感動は得られず。12章の「コミュ障との付き合い方」必見。①コミュで何が起きているかを冷静に観察。言葉の選択が不適切か、会話の協力の手続きが適切にとられていないか、相手の感情や気分、意図、期待などの推定に失敗しているのか。➁子どもとのコミュの崩壊を修復する補償的な対応をとる。不適切な言動の真意を尋ねたり、言い換えのモデルを示したり。話す際は聞き手の注意の確保を促したり、長すぎる話を短くするよう求めたり、一方的な話題変更に警告を与えたり。会話の相手の感情、気分、意図、期待などの解説。2023/04/28
いとう
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発達障害に関するコミュニケーション本は、支援のハウツー本かSST(ソーシャルスキルトレーニング)になりやすいが、本書は『語用論』で『コミュ障』を分析する。 大井先生いわく、エビデンスのある支援法はまだないが、書中に紹介されている『当面の方略(p.111)』を念頭におけば、『コミュ障』によってお互いが不信感や徒労感を募らせずに済みそうだ。2021/09/08
みーあ
0
★5 コミュ障とは場面にそぐわない発言、会話のルールからの逸脱、ことばの文字通りの意味での理解等。当事者の周囲との不適合をもたらす恐れが高い。その研究と実践の進展のきっかけになれば、というのが出版の意図のよう。★5をつけたのは、ここまで言葉のやり取りを書き出し、課題を見つけ掘り下げ、その理由を解明し、改善方法を示した書物は初めて見たから。内容が私にとっては少々難解で、理解しかねる箇所もあるが、大筋は理解でき、納得いく内容だった。キャリコンの逐語記録を髣髴させ、課題発見の視点の違いが興味深く、トライしたい。2020/07/17