出版社内容情報
患者による医療者評価(患者エクスペリエンス)が病院経営の重要課題であるアメリカでは、医療者の伝え方や接し方を見直す動きが広がっている。こうした転換期における患者との向き合い方とは。現場の試行錯誤から見えてきた、医療者のためのコミュニケーション改善の視点。
――推薦のことば
ドクター・チカモトは、当院の医師たちとともに、患者とのコミュニケーションを向上させるために、熱心かつ幅広い取り組みを行ってくださいました。このたび、私たちの協働の成果を日本 の医療従事者の方々に共有してくださることになり、とても嬉しく思います。この本では、アメリカの臨床現場における私たちの試行錯誤が、率直かつ温かく描かれています。ドクター近本は、本書を通じて、「患者とのコミュニケーション」という重要で緊迫した課題に対する「魔法の鍵」を見つけたと、私は心から感じています。(マウントサイナイ・クイーンズ病院長 Dr. キャメロン・ヘルナンデス )
目次より
序 章 変わりつつある患者との向きあい方
こんなはずじゃ/疲れ切った医療者/患者に評価される時代の到来
患者エクスペリエンスとは/患者エクスペリエンスを測ることと順位づけ
患者エクスペリエンスをめぐる葛藤?――患者の満足度?
患者エクスペリエンスをめぐる葛藤②――患者の色眼鏡
患者エクスペリエンスをめぐる葛藤?――いろいろな患者
コミュニケーションの特効薬
第1章 今さら聞けない
概念のひとり歩き/具体性への反論?/医師にコーチ
コミュニケーションに関するコーチング/話し言葉
第2章 苦情を言われるなんて心外!
ちゃんと聴いているのに/患者が実感する傾聴
座ることのチカラ/先生はコンピュータばかり見ていて
【実践コラム】「聴」/患者を遮ってはいけないという呪縛
第3章 わかっているんだか、いないんだか
うなずいているんだけれど/何か質問? どんな質問?
後で読みます?/余韻のチカラ/うさぎ穴に落ちないように
第4章 寄り添いたくても
寄り添っていたつもりが/先生にわかるわけないでしょ
共感の限界/インターパシーという観点/共感のダークな側面
共感だけに頼らずに/患者の権利とコンパッションという視点
どうしても寄り添えないとき
【実践コラム】やり直しボタンの勧め/医療現場のオノマトペ
第5章 患者にやる気がなくて
アドバイスの功罪/余白/物差し上の距離/空っぽの皿
隙間/医師自らにも役立つ隙間/なぜ、なぜを避けるのか
【実践コラム】沈黙のチカラ
終 章 医師が自身と向き合う
医師のウェルビーイング/医師の役割を離れたところでも
セルフ・コンパッション/グラティチュード(感謝)
酸素マスク/新しいページをめくる
アメリカの医師は患者にどのように語りかけるか
目次
序章 変わりつつある患者との向き合い方
第1章 今さら聞けない
第2章 苦情を言われるなんて心外!
第3章 わかっているんだか、いないんだか
第4章 寄り添いたくても
第5章 患者にやる気がなくて…
終章 医師が自身と向き合う
著者等紹介
近本洋介[チカモトヨウスケ]
ケアリング・アクセント(Caring Accent)主宰。早稲田大学第一文学部心理学専修に在籍中から、日本大学医学部附属板橋病院心療内科で臨床心理の研修を開始。獨協医科大学越谷病院小児科で臨床心理を担当したのち、渡米。スタンフォード大学、カリフォルニア州立大学、アメリカン大学でヘルスコミュニケーションと健康行動に関する研究、教育に携わったのち、カリフォルニアの統合医療機関、カイザー・パーマネンテ、ニューヨークの大学病院、マウント・サイナイにて、医師のコミュニケーションスキルアップのプログラムをリード。現在は、カリフォルニアとポルトガルと日本を拠点に、医療や対人援助におけるコミュニケーションの向上支援に注力。日本心療内科学会や日本交流分析学会、日本心理臨床学会などでの講演に加え、中央心理研究所主催のワークショップを通して、患者エクスペリエンス、対人援助コミュニケーション、医療者対人援助者のセルフケアという切り口を日本のリーダーと模索中。早稲田大学第一文学部心理学専攻卒、同大学大学院修士課程心理学専攻修了、ペンシルバニア州立大学大学院健康教育学博士(PhD)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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