性差別の損失―なぜ経済は男性に支配され、女性は排除されるのか

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性差別の損失―なぜ経済は男性に支配され、女性は排除されるのか

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  • サイズ 46判/ページ数 440p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784760155132
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C0033

出版社内容情報

 男女賃金格差、ジェンダー平等、少子化など、今話題のテーマ、緊急に解決しなければならない問題、それらの本当の原因とは何か。小手先の政策だけを振り回す政治の問題も含めて、根本的に解決したいのなら、その真の原因に対処しなければならないことが明確にわかる。そう、男性には耳が痛いが、片方の性がすべてを牛耳ってきたため、女性が不利な立場に置かれているのだ。既得権も含めて、女性に権利を渡そうとしない男性側の問題が大きく影響している。しかも女性でさえも男性に依存する権利を主張し、これらの問題解決に抵抗さえしているのだ。はたしてフェミニズムはあらゆる女性の価値観を包含できているのだろうか。そして、家父長制のことを甘く見すぎていないだろうか。

 本書はこうした問題について世界規模で実地に体験、研究してきた著者により真の原因を明らかにし、それによる巨額の損失が起きている事実をデータを基に突きつける。

●女性に高等教育を受けさせないことで、世界経済は30兆ドルの損失を被る
●地球上の耕作可能地の80%は男性が所有し、富の独占を行っている
●男女の賃金格差は市場が偶然にもたらしたものではなく、1970年代に子どもを持つ母を家庭に留めようとした保守的な社会政策に起因する(イギリスの平等賃金法など)
●子どもをもうけると平均して10年にわたり収入が40%ダウンする(働くアメリカの母親、母親ペナルティ)
●イギリスには1年間の有給休暇があるが、出産から10年後に40%の減給となる(イギリス)
●長期の産休制度があっても、伝統的に子どもは家庭で育てるものだと考え、子どもを預ける施設を作らないから、それを利用できず、「ヨーロッパの老人ホーム」「子どものいない国」となった(ドイツ)
●育児支援政策があるデンマークとスウェーデンでも、出産から10年後に給料が約21%と27%下がっている(デンマークとスウェーデン)
●なぜ長期の育休は女性に不利益になりかねないか?(昇進させない)
●なぜ男女平等を推進する政策はまったく役に立たないのか? 
●「男性の連帯」がいかに根強いか(採用、育成、人事管理、昇進、給与慣行に関して)

 こうした経済的な障壁が、通常は女性に課せられた文化的な制約と結びついて、女性特有のシャドウ・エコノミーを作り出している。それを著者はダブルXエコノミーと呼んでいる。これは発展途上国だけの問題ではなく、先進的と思われているアメリカ、ドイツなどでも状況は変わらない。世界的な規模で男女差別が起こっており、それゆえその損失は莫大なものとなっている。地球上から貧困をなくすにはどうすればよいのか。現地に学校や設備を作るだけではだめで、それを活かすための文化的フォローが必要になる。この文化的問題こそが男性中心の価値判断に基づくものであり、一方的に壊すのではなく、意識を変えるべく、男女ともに問題点を理解しつつ、この巨大な壁に立ち向かう必要があることを明らかにしていく。

内容説明

なぜワーキング・プアが起こるのか。出産をあきらめる本当の理由。女性を昇進させない圧力の存在。男性の連帯が女性を阻んでいる。

目次

ダブルXエコノミー
ビッグデータの裏にあるもの
必需品を使った支配
言い訳にならない言い訳、言い訳できない扱い
お金のためでなく愛のために
キッチンからの逃走
母親になると罰せられる
男脳・女脳の偏見
達成されない同一賃金
クリスマス消費八割作戦
金融からの排除
事業主になる
世界市場に参加する
救済への道
エピローグ―次にやるべきこと

著者等紹介

リンダスコット[リンダスコット] [Scott,Linda]
国際的に著名な女性の経済開発の専門家、オックスフォード大学起業とイノベーション・DPワールド名誉教授。さまざまなセクターのリーダーを集めるパワー・シフト・フォーラム・フォー・ウィメン・イン・ザ・ワールド・エコノミーと、開発途上国の女性たちのエンパワーメントに取り組む大手多国籍企業のコンソーシアムであるグローバル・ビジネス・コアリション・フォー・ウィメンズ・エコノミック・エンパワーメント(GBC4WEE)を立ち上げ、GBC4WEEではシニアアドバイザーを務*(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Hiroki Nishizumi

4
知り合いの女性からとても面白いと紹介されて読んだ。ただ自分にとってそれほど興味深く感じなかった。ジェンダー格差は潜在意識に深く沈殿し、簡単に消失しないものかもしれない。2023/06/23

Tkc Knk

4
【☆☆☆☆】【2023年】 性差別を経済の視点から問い直した良書。原典も読みやすいのだろうが、訳も読みやすく、素晴らしい。使い捨て生理用品と、就学率の関係、わかりますか?私は吃驚しました。2023/06/21

ゼロ投資大学

3
現代の日本に生きていると想像もつかないが、世界各地ではまだまだ女性の権利が充分でなく、性差別が横行している実態が明らかにされる。女性に充分な教育がされていないことは、経済的社会的な損失となり、人々の暮らしを悪化させる。有史以来、女性は嫁入り前は父の所有物であり、余命入り後は夫の所有物との価値観が続いてきた。そうした価値観を世界中ですぐに一層することは難しくても、女性に男性と等しい権利と教育を与えて、共に社会を作っていく努力を怠ってはならない。2023/06/01

Sena

2
家庭の中でこれまで女性の労働には対価が支払われてこないことが多く、伝統的な家父長制から経済的に自立していないことがいかに社会や経済に打撃を与えているかにスポットを当てた内容。女性を経済的に包括するのを拒む壁はさまざまなところにある。 仕事、給与、財産所有権、信用貸… 経済的な障壁が文化的な制約と結びつきで、女性特有の影の経済(シャドウエコノミー)を作り出しており、本書ではダブルXエコノミーと呼ばれる。 アカデミックの世界も徐々に変化してきたが経済学にはまだ変化の波が及んでおらず、今尚男性優位の学問。2023/08/25

emma

0
ダブルXエコノミーをしっかり認識し、そこに対するアクションをすること 女性のエンパワーメント 男性優位は人類が普遍的に経験してきたこと2024/10/15

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