内容説明
“苛烈な運命”に挑む者たち―。いけにえの少女二人を襲う‘神’の試練『ラビリンス“迷宮”』、王家の血をめぐる愛憎劇『ディアナ・ディア・ディアス』。他に初期傑作短編『週に一度のお食事を』『宇宙魚顛末記』収録。
著者等紹介
新井素子[アライモトコ]
1960年東京都生まれ。立教大学文学部ドイツ文学科卒業。都立高校二年在学中の77年、「あたしの中の…」が、星新一氏の絶賛を浴び、第一回奇想天外SF新人賞佳作に入選、作家デビュー。その新鮮な文体は当時の文芸界に衝撃を与え、後進の作家たちに多大な影響を与えた。81年「グリーン・レクイエム」、82年「ネプチューン」で二年連続の星雲賞日本短編部門を受賞。99年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くみこ
18
「ラビリンス 迷宮」は、人喰い神に美少女二人が対峙するファンタジー。軽いお伽話かと思いきや、人を喰う神と二人の少女との関係は緊張感で一杯だし、人類の愚かさ傲慢さ、生命や文明について深く問われるような、壮大な物語でした。「ディアナ・ディア・ディアス」は、王族の"血"を巡る物語です。高貴な血を持つ母と息子の、避けても、目を背けても逃れられない運命が描かれ、独特の世界観が広がる作品でした。"生"や"原罪"など宗教的な雰囲気を漂わせる重厚感も。他2篇の短編は、小気味良い会話とブラックユーモアが楽しめます。2020/04/06
Norico
7
前巻の扉を開けてと同じ、異世界ものシリーズ。あとがき読むと、この世界でもっと色んなお話しが考えられてたんだなぁ。いまさらだけど読んでみたかった。2021/10/27
ムーミンママ
3
著者も言っているように《ディアナ・ディア・ディアス》しんどい作品でした汗 こんなに『血』に抗えないのはキツい。。逆に《週に1度のお食事を》《宇宙魚顛末記》はブラックユーモアたっぷりで楽しく読了。2022/01/08
akapon
3
完結巻。この巻には長編作品「ラビリンス〈迷宮〉」、「ディアナ・ディア・ディアス」の他に「週に一度のお食事を」、「宇宙魚顛末記」も収録。久しぶりに読み返した二長編の傑作ぶりに改めて驚嘆した。読んでいるこちらの心身を容赦なく抉ってくる感じがたまらない。恒例の収録作既刊全あとがきを読むと、「扉を開けて」も含むあちらの世界の壮大な物語構想の一端を窺い知ることができ、それ故「ディアナ・ディア・ディアス」の後の物語が読めないものだろうかとあの頃感じた切なさがまた蘇ってしまい、そんな自分に苦笑したのであった。 2019/12/11
空飛び猫
2
世界を変えるほどの才能 それ故に苦しみ、傷つくこと2021/01/24
-
- 電子書籍
- 月刊 ココア共和国 2023年1月号