内容説明
江戸時代への時間旅行を紙上で疑似体験!衣食住・経済・性・衛生観念…江戸の暮らしはいったいどんなものだったのか?その魅力と幻想を現代人の視点から読み解く、「江戸の天国と地獄」。ロフト付き1K、バス・トイレなしの裏長屋/発達した水道網、でもキケンな生水/現代の家庭薬で江戸なら名医!/“暗い、臭い、危ない”トイレ事情/吉原は今なら淫行罪/書籍は超高級品/スタバもあればラブホもあった茶屋/洗練とは程遠い蕎麦/新鮮が売りじゃなかった江戸前寿司…などなど、これが本当の「江戸生活模様」。
目次
第1部 東京(発端;準備;出立)
第2部 江戸(旅籠屋;裏長屋の生活;帰還へ)
著者等紹介
永井義男[ナガイヨシオ]
1949年生まれ。福岡県出身。作家、江戸風俗研究家。97年、『算学奇人伝』(祥伝社文庫)で第6回開高健賞を受賞し、本格的な執筆活動に入る。劇画『いちげき』(松本次郎、リイド社)の原作として『幕末一撃必殺隊』を提供したり、公募スクール(公募ガイド社)にて「時代小説講座」と「50歳から始める小説講座」の講師を務めるなど、幅広く活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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ポチ
62
もしも江戸時代に行ったら…。単純なタイムスリップものではなく、様々な文献や著者の考察からそこに紛れ込んだ現代人の姿を通して江戸庶民の暮らしぶりが現実感を伴い良く描かれている。行ってみたいなぁ。2018/09/05
ショコラテ
23
江戸の解説本かとおもったら、まさかのタイムスリップしながら江戸の生活を解説するよ小説だった。でも、いつでも行き来できるなどのご都合主義ではなく、一週間と期間を定めて、きちんと準備していくのが現実的?古文書解読講座にまで通っている設定の島辺が、軽はずみなことばっかりするのにはイライラさせられたが、彼が失敗しないと解説できないから仕方ない。長屋の図面を見て「これはあかんやろ…」と思っていたことが出てきたので、でしょでしょ?と頷いたものの、当時はそれで生活できてたんだから抵抗力が柔な現代人とは違うのね…。2018/10/03
サケ太
21
江戸時代の雰囲気に没入できる『タイムスリップ体験型小説』。現代人が江戸時代にタイムスリップしたとき、どうやったら問題なく生活できるのか。それをまじめに考えて、実行してみた的な物語。頼りがいのある会沢竜真。お調子者だが、機転の利く島辺国広。この二人のコンビは面白かった。現在人からするとどこか美化されてしまっている江戸時代。様々な著作の名前を出しながら(『江戸しぐさの正体』など)江戸時代の実像に迫っていく。実験的でなるほど、と思わせる作品。なろう系的(現代の薬で治療を行う)な部分もあり、面白かった。2018/08/25
yyrn
12
とても想像力をかき立てられた。さすが「江戸の糞尿学」を執筆した作者で着想が面白い。日本近世史が専門の元大学教授と若者が江戸時代後期につながる「闇」を発見したことから、準備万端整えて(ここがミソか)当時の庶民の生活を体験しようとタイムトラベルする話。へえーと感心する話も多いが、井戸以外に便所やゴミ捨て場も長屋のすぐ脇にあれば臭いし、腹も壊しそうだ。お歯黒は不気味だし真っ暗な夜の不便さなど腰が引ける場面も多いが、最近の江戸文化ヨイショ本とは一線を画していて、不便なりに工夫して暮らしている生活を想像して楽しんだ2018/06/21
あっきー
11
✴3 「江戸はゆたかで、自由で、清潔だった式の江戸を美化する傾向がある」、 現代の人間が江戸にあこがれるとそうなってしまうのは仕方ない、その点この物語は不衛生なところも実際に近いだろうし面白かった、50年以上前は田舎だともっと江戸時代の生活の名残が残っていただろう2019/03/26