内容説明
異形の男の暗い過去。おぞましき因縁と復讐!
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902(明治35)年生まれ、1981(昭和56)年没。大正期より執筆活動を始め、伝説の雑誌「新青年」編集長として江戸川乱歩に名作『陰獣』を発表させるなど編集者としても活躍。戦後まもなく『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』という傑作長篇を発表、前者で第1回探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
55
戦後、著者が本格ミステリに邁進した時期に書かれた作品が収録されている。そのため一巻や二巻に比して、トリックを中心にした作品が多いように感じる。舞台も岡山ものから戦後の風俗を扱ったものまで様々。自分はやはり前者が好きなのだが、後者もこの時期独特の黒い光を放っているようで面白く読めた。収録作も実質戦後第一作の「探偵小説」や事実上の最初の発表「神楽大夫」始め、著者が頸木から解き放たれ好きなものを本当にのびのび書いている感じがあって好き。著者を代表する長編群もいいが、こういう密やかな短編も忘れ難い味わいがあるな。2018/07/16
keroppi
51
横溝正史の短編ミステリが贅沢に収録されている。第2巻より、さらにトリックが主題になってきて、横溝自身トリックを考えるのが楽しくて仕方なかったと言っている。一番惹かれたのは、表題作「刺青された男」。全体の雰囲気もいいのだが、ラスト2行のインパクトは大きい。いくつかのエッセイも収録されているが、海野十三や高木彬光らとの交流も知れて楽しく読めた。さー、第1巻が図書館予約でやって来たので、そちらを読み進めよう。2018/04/23
ぐうぐう
20
巻末の付録に収録されているエッセイ「探偵小説への饑餓」で横溝正史が述べているように、戦時中に探偵小説が読めなくなってしまい(と同時に書けなくもなってしまった)、その長い飢餓感が終戦と共に解放されて、探偵小説を読む楽しみ、書く喜びに満たされていく時期の短編を収録した『横溝正史ミステリ短篇コレクション』3巻。当然、ここには本格ミステリが並ぶ。ただ、読んでいると、横溝が浮かれているのでなく、その逆で、これから本格ミステリを書いていく覚悟のようなものを感じさせる。(つづく)2018/05/02
てっちゃん
9
短編推理小説のお手本のような作品集。横溝正史は金田一耕助だけではないのである。こういうバラエティに富んだ作品も本当に面白い。この中では「探偵小説」が一番素晴らしい。2019/10/25
まさ☆( ^ω^ )♬
8
長編読んでる合間に一寸ずつ読もうと思い、並行での読書でしたが、読み出すと次から次へと読みたくなる面白さです。横溝正史ミステリ短篇コレクション第3巻は、戦後の昭和21年〜22年頃の作品が中心に収録されています。戦前の作品に比べると、面白さも増して来ている印象です。この流れから金田一シリーズへ繋がるんだなあ、と興味深いものがあります。付録で作者のエッセイ7篇も収録しており、これもまた楽しいです。2021/03/30