内容説明
歴史あふれる大切な我が家、古き良き日本の暮らしを永遠に失わないために…重い税負担で維持・継承をあきらめる前に、住み継ぐためのヒントを伝授します。
目次
第1章 住まいを受け継ぐ達人たち―継承するための多様な試み(旧鈴木成文邸(鈴木信太郎旧宅)
瀬川邸 ほか)
第2章 文化遺産としてよみがえる伝統的な住まい―受け継ぐことの意味(文化財として保護する意味と役割、そして課題;過去の遺物を保存することの社会学的意味 ほか)
第3章 日本の「技」と住まいの「誇り」―受け継がれる住文化(明治から戦前期の“和洋折衷化”にみられる和の住まい;郊外の住生活に残る和の要素 ほか)
第4章 受け皿をつくる―受け継ぐための社会的システム(谷中界隈の暮らしと伝統建築を受け継ぐためのシステム;住宅遺産トラストによる継承・活用システム ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさこ
7
有形登録文化財の村川家住宅の村川夏子さんの言葉。「(経済的支援の多寡ではなく)私は文化財制度の本質は”価値を認める”という点にあると思う。所有者は地道で孤立しがちだが、家を継承することで社会とつながり、貢献できるという実感が得られ、気持ちを明るくしてくれる」と。孤独な苦労がしのばれる言葉だ。本来文化財は国民の財産なわけで…それを維持管理するのが個人なのが大変。更地で売れないのも大変。雨風にさらされ傷むので書画や工芸品よりずっと大変。文化を継承し、同時に私たちの街の風景をつくってくれている。感謝する次第…。2020/06/12