内容説明
都市にはなぜ娯楽があるのか?巨大温泉、大劇場、噴水キャバレー、ボウリング場、総合レジャービル。街もビルも今までにないものをゼロからつくってしまう。人々はものすごい勢いで集い、騒ぎ、汗を流し、酒を飲み、笑う。そんなパワフルな昭和の「娯楽」の時代をひもときながら、「娯楽の場」としての都市を考察する。
目次
第1章 戦後欲望の解放区―船橋ヘルスセンター
第2章 下町に花開いた庶民の遊び場―江東楽天地
第3章 日本初の総合レジャービル―池袋ロサ会館
第4章 娯楽大国アメリカへの夢―ボウリング場狂想曲
第5章 世田谷をイカした街に変えた―一九六四年東京オリンピック
第6章 競馬場はなぜ府中と中山にあるのか?―馬と都市をめぐる考察
終章 娯楽がなければ街ではない―東京寄席散歩
著者等紹介
三浦展[ミウラアツシ]
1958年生まれ。82年一橋大学社会学部卒業後、株式会社パルコ入社。マーケティング情報誌『アクロス』編集室勤務。86年同誌編集長。90年三菱総合研究所に入社。99年「カルチャースタディーズ研究所」設立。家族、若者、消費、都市、郊外などの研究を踏まえ、新しい社会デザインを提案する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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いたろう
54
現在、ららぽーと船橋がある場所に「船橋ヘルスセンター」があったということは知っていたが、それが、巨大な温泉、温泉プール、世界最大の海水プール、いくつもあるホール・劇場での歌と演芸・ダンスショー、五百畳もの大広間、休息施設、宿泊施設、サロン、食堂、宴会場、展望台、ボーリング場、卓球場、ローラースケート場、アイススケート場、ハイランドスキー場、遊園地、遊覧船、遊覧飛行機・・・、と何でもありの驚くべきスポットだったとは知らなかった。恐るべし、高度成長期の日本のパワー。2015/11/22
むぎじる
33
高度経済成長期の、力強く元気な空気に包まれた日本がたっぷり味わえる。男性の娯楽と言えば、芸者遊びなどの飲みを通じたものであり、女性だったら芝居見物。時代と共に娯楽の内容が変化し、家族が一緒になって遊びに行くレジャー文化が栄える。その代表格である「船橋ヘルスセンター」の規模の大きさには、まさに度肝を抜かれる。人であふれかえり、まさにいも洗い状態にもかかわらず、人々の笑顔は明るく楽しそうだ。現代は個人で楽しむ娯楽が増えてきている。それもいいだろうが、この時代のみんな一緒に楽しむ熱さにふれてみたかった。2015/09/17
おかむら
33
船橋ヘルスセンター、江東楽天地、池袋ロサ会館、昭和30年代のレジャー施設の歴史。ビックリ! バカ楽しい! 今のオシャレ東京からは想像もつかない破天荒ぶり。計画性ゼロ! 勢いだけ! まるでクレイジーキャッツの映画のようなお気楽さ。 また次の東京オリンピックに向けて都市のこういう猥雑なとこ無くしていこうとたぶん舛添さんとか思うだろうから、今読んでおいてよかった貴重な記録。それにしても高度成長期の日本人は元気だな!今の中国の人に通ずるものが。イケイケドンドン。2015/06/22
ひねもすのたり
17
高度成長期、東京周辺にあったレジャーランドについて書かれています。 それぞれの設立の経緯や当時の資料なども載っているのでそれだけでも楽しめますが、大衆娯楽の変遷という視点で読むと更に興味をそそられます。 船橋ヘルスセンターと東京楽天地は個人的に馴染み深い場所です。 当時、子供の私がこの施設から感じ取っていたのは怪しげな猥雑です。 現在、ショッピングモールとシネコンになっていますが、そこで供されているのは見栄えのいい記号化された娯楽です。 果たしてどちらが魅力的なのでしょうか?そんな事を思いました。★42015/09/18
たくのみ
13
「長生きしたけりゃちょっとおいで」の船橋ヘルスセンターのCMが懐かしい。ここは開高健が巨大な「ステテコ共和国」と名付けた施設。ゴルフ場、遊園地、大浴場、ホテル、ボウリング場、巨大ステージ、美術館、遊覧飛行機何でもアリの高度成長期時代の象徴だった。精神的にも徹底した理想郷を目指す「人間裸になれば貴賎、貧富の差はありません」裸の民主主義を掲げる丹沢さんの言葉が深い。2016/03/27