内容説明
人質が生きるか、死ぬか、極限状態での駆け引き。一本の電話回線を介した緊迫の交渉。真実を描くため、実名は明かせなかった交渉人自らが語る、衝撃のノンフィクション。
目次
第1部 エンド・ゲーム(身柄)
第2部 ビジネス(ゴムのニワトリ;売り込み;もっとも長い道のり)
第3部 降下地域(初動;損の上塗り;詐術;シェパードの祈り)
第4部 新しい波(最後の手段;裸の王様)
第5部 不和(立てこもり;交渉人部屋;ジャーの兵士;突破口;長い議論;帰ってほしい;高値の標的;魔女の集会)
第6部 海賊たち(ザ・ウルフ;循環)
著者等紹介
ロペス,ベン[ロペス,ベン][Lopez,Ben]
アメリカ・ニューヨーク生まれ。子供時代を南米ベネズエラで過ごす。大学では心理学を専攻、卒業後は病院の精神科に勤務。その後、身代金目的の誘拐事件での交渉人に転じ、コンサルタントとして20年のキャリアを持つ。その活動範囲はメキシコからコロンビア、中東まで世界各地に及ぶ。“ベン・ロペス”は仮名で、職業上の理由から実名は明らかにしていない。現在、ロンドン在住
土屋晃[ツチヤアキラ]
1959年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業
近藤隆文[コンドウタカフミ]
1963年静岡県生まれ。一橋大学社会学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃちゃ
12
ゴムのニワトリさんが一緒なら,どこにいても,何とかやっていけるんだね。想像すると,ぷぷぷ・・・。それにしても,ストレス山盛りの職場だなあ・・・。自分の身体の心配している暇なんてないわけね。現実は厳しいなり。交渉人が活躍するなんて,映画の世界の中だけにして欲しいな・・・。2012/09/24
ゆずこまめ
10
お金目当ての誘拐が交渉人という職業を成り立たせてしまうくらい多いなんて…しかも結構ずさんな計画。相当なストレスの仕事なのに交渉人をやりたい、続けたいって、何か癖になっちゃってるんでしょうか。2016/05/31
そら丸
9
そうか!交渉人は犯人逮捕を全く考えずに仕事をするんだな。あくまでも人質の解放のみ!交渉人自身が偽名で書いている本のようですが、中々興味深い内容でした。中途半端に自分の私生活を出すのはマイナイスですけど。★★★2012/09/04
shigoro
9
日本では映画ぐらいでしか馴染みがない職業だが、治安の悪い戦争地域や中南米ではあたりまえのように活躍している。著者はかなり腕が良さそうだが、交渉人の当たりハズレもある。犯人側が圧倒的有利な状況から、司令室を作り、粘り強い交渉して、身代金を十分の一まで下げたりすることも。交渉人側の唯一の強みは時間であり、長引けば犯人側も割りの悪い稼ぎとなり、そこをうまい具合にやり取りしているわ。 2012/07/22
tan_keikei
6
警察側ではなく、保険会社側からの依頼をうけ動くネゴシエイターが明かす人質解放交渉の舞台裏。誘拐犯側の心理を読み、沈黙や拒否、情報操作などを駆使しての交渉はまさに心理戦。人間の素の部分があらわになる交渉の現場はスマートではなく泥臭く汗臭い。誘拐保険がビジネスとして成立する時代に来た新しい仕事人を描くノンフィクションでした。2013/03/09