内容説明
日清・日露戦争から日中戦争にかけて、植民地建築や在外公館を数多く残した「海を渡った日本人建築家」たち―。忘れられた建築家の人物像に迫り、近代日本建築史の一断面を描き出す。
目次
序章 世紀末の東アジアと建築家
第1章 総督府庁舎と建築家
第2章 世界建築を産み出した建築家
第3章 植民地銀行に腕をふるった建築家
第4章 在外公館と建築家
第5章 王道楽土のかたちを創った建築家
第6章 ゼネコンと建築家
終章 海を渡った日本人建築家の普遍性と先進性
著者等紹介
西澤泰彦[ニシザワヤスヒコ]
1960年愛知県生まれ。名古屋大学卒業後、東京大学大学院、中国・清華大学留学、豊橋技術科学大学助手を経て、名古屋大学大学院環境学研究科准教授。専門は建築史。1999年第3回建築史学会賞受賞、2009年日本建築学会賞(論文)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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塩崎ツトム
1
日本のコロニアル建築に興味を持ってページを開く。ちょうど中村弦「天使の歩廊」と時代設定がかぶっていて、台湾・大連・新京といった都市で、決して日本の建築史の表舞台には出なかった、隠れた名建築家が大活躍。日清・日露戦争、第一次世界大戦、満州事変といった破壊と蹂躙の時代でも、建築家たちの創意工夫は止まらない。その驀進のすさまじさ、イタリアの未来派が「戦争こそ社会の進歩の原動力」と錯覚したのもうなずける。実際は、建築家たちの情熱に、戦争なんてものは太刀打ちできない、という話なのだけど。2014/09/27
kozawa
1
当時の朝鮮、満州、その他中国に赴任するポストを得て本土を出て活動した建築家たち。学んだ技術をもとにそれぞれの地に合わせたものを作っていったお話。建築物も情報もなくなっていく一方。それなりに面白く読んだ。2012/01/05