パルマケイア叢書
理想郷としての第三帝国―ドイツ・ユートピア思想と大衆文化

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  • サイズ A5判/ページ数 359p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784760123025
  • NDC分類 234.07
  • Cコード C3022

出版社内容情報

18世紀後半の啓蒙主義から20世紀のナチズムへとつながるドイツの「民族主義的 ユートピア」の変容を、ビラ、小冊子や未来主義的SF小説、さらには大衆に愛読さ れた低俗小説などを手がかりに紐解いた好著。

はじめに
第1章 祖国統一の願い
1 「独逸(teutsch)」の自由をめぐる啓蒙期の考え方
2 解放戦争から48年革命まで
第2章 宰相ビスマルクとヴィルヘルムニ世の治下で
1 1871年以降の民族主義的な野党勢力
2 世紀転換期の「進歩的反動」の思想圏
3 ヒトラーの「ウィーンにおける修業と苦難の時代」
4 「1914年の理念」――ヴィルヘルムニ世と全ドイツ連盟の併合政策
第3章 ヴェルサイユの屈辱」以降
1 宗教的未来像における新皇帝待望論
2 「新右翼」の躍進
3 初期ナチ党(NSDAP)の将来構想
4 国粋主義者の救済救国ユートピア
第4章 「相対的安定期」のヴァイマル共和国
1 民族主義的な暗黒郷――ドイツの「アメリ力化・黒人化・ユダヤ化」
2 農本主義と人種差別主義――種改良の思想
3 ヒトラーの『わが闘争』
第5章 1929年の世界恐慌――イデオロギーへの影響
1 反民主主義的ナショナリズムの新グループ
2 文学的ヴィジョンとしての「世界最終戦争」
3 ユートピア願望――強国として復活するドイツ
4 「政権担当能力」をつけはじめたナチ党
第6章 政権掌握
1 国民理念の勝利
2 政権初期のユートピア
3 ゲルマン崇拝と北方民族化
4 生きつづける神話――農民と郷士
5 第三帝国の芸術と日常生活における「美」の役割
6 総統崇拝
7 騎士団結社と聖杯伝説
8 ドイツの「世界観を伝道する」空想科学小説
第7章 世界制覇の野望
1 「ドイツ民族解放闘争」としての第2次世界大戦
2 「東方の大ゲルマン帝国」の夢
3 ヒトラー晩年のモノローグ
訳者あとがき
邦訳文献リスト
原註
人名索引

内容説明

未来小説、ユートピア小説など、正統的文学史から見落とされた娯楽小説200点を手がかりに、大衆運動としてのドイツ民族主義の歴史をはじめて構築。オカルト・ファン、SFファンも必読。

目次

祖国統一の願い
宰相ビスマルクとヴィルヘルム二世の治下で
「ヴェルサイユの屈辱」以降
「相対的安定期」のヴァイマル共和国
一九二九年の世界恐慌―イデオロギーへの影響
政権掌握
世界制覇の野望

著者等紹介

ヘルマント,ヨースト[ヘルマント,ヨースト][Hermand,Jost]
1930年カッセル生まれ。1940‐45年ベルリン、パウル・フォン・ヒンデンブルク実科ギムナージウムに学ぶ。1950年よりマールブルク大学でドイツ文学・歴史・哲学・芸術史を専攻。1955年博士号取得。1958年よりウィスコンシン=マディソン大学教授として近代ドイツ文学の講座を担当

識名章喜[シキナアキヨシ]
1956年東京都生まれ。1979年東京大学文学部卒業。1984年東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在、慶応義塾大学商学部教授。専攻はドイツ文学、ドイツ語圏SF研究
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

38
独逸成立から第二次世界大戦末期までの理想を、年代ごとに論じた一冊。これを読むと血と土の神話だとか指導者原理、アーリア人優越主義が思ったより早く成立していることがわかる。目新しいのは各時期におけるSF等をその手がかりにしていること。内容があんまりにあんまりなのが多くて日本ではまず読むことはできないだろうが、各時代の要請に答えている部分だけは感心させられた。以前読んだ『鉄の夢』ってこの時期のSFのパロディでもあるのかな?訳者あとがきは日本のこの手のものが好きな読者に対して、痒い所に手の届く作りになっている。2013/10/13

塩崎ツトム

7
プロイセン朝末期からワイマール、そしてナチスの台頭までの間、ドイツ国内で反乱したユートピア小説(SF小説のこと)やゲルマン的ユートピア思想について分析を行った本。SFといっても、それは現在の日本でも反乱しているようなチンケな愛国心をくすぐるようなもので、ナチズムは決してヒトラーがゼロベースで構築したものではないと教えてくれる。2015/11/05

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