出版社内容情報
18世紀後半の啓蒙主義から20世紀のナチズムへとつながるドイツの「民族主義的 ユートピア」の変容を、ビラ、小冊子や未来主義的SF小説、さらには大衆に愛読さ れた低俗小説などを手がかりに紐解いた好著。
はじめに
第1章 祖国統一の願い
1 「独逸(teutsch)」の自由をめぐる啓蒙期の考え方
2 解放戦争から48年革命まで
第2章 宰相ビスマルクとヴィルヘルムニ世の治下で
1 1871年以降の民族主義的な野党勢力
2 世紀転換期の「進歩的反動」の思想圏
3 ヒトラーの「ウィーンにおける修業と苦難の時代」
4 「1914年の理念」――ヴィルヘルムニ世と全ドイツ連盟の併合政策
第3章 ヴェルサイユの屈辱」以降
1 宗教的未来像における新皇帝待望論
2 「新右翼」の躍進
3 初期ナチ党(NSDAP)の将来構想
4 国粋主義者の救済救国ユートピア
第4章 「相対的安定期」のヴァイマル共和国
1 民族主義的な暗黒郷――ドイツの「アメリ力化・黒人化・ユダヤ化」
2 農本主義と人種差別主義――種改良の思想
3 ヒトラーの『わが闘争』
第5章 1929年の世界恐慌――イデオロギーへの影響
1 反民主主義的ナショナリズムの新グループ
2 文学的ヴィジョンとしての「世界最終戦争」
3 ユートピア願望――強国として復活するドイツ
4 「政権担当能力」をつけはじめたナチ党
第6章 政権掌握
1 国民理念の勝利
2 政権初期のユートピア
3 ゲルマン崇拝と北方民族化
4 生きつづける神話――農民と郷士
5 第三帝国の芸術と日常生活における「美」の役割
6 総統崇拝
7 騎士団結社と聖杯伝説
8 ドイツの「世界観を伝道する」空想科学小説
第7章 世界制覇の野望
1 「ドイツ民族解放闘争」としての第2次世界大戦
2 「東方の大ゲルマン帝国」の夢
3 ヒトラー晩年のモノローグ
訳者あとがき
邦訳文献リスト
原註
人名索引
内容説明
未来小説、ユートピア小説など、正統的文学史から見落とされた娯楽小説200点を手がかりに、大衆運動としてのドイツ民族主義の歴史をはじめて構築。オカルト・ファン、SFファンも必読。
目次
祖国統一の願い
宰相ビスマルクとヴィルヘルム二世の治下で
「ヴェルサイユの屈辱」以降
「相対的安定期」のヴァイマル共和国
一九二九年の世界恐慌―イデオロギーへの影響
政権掌握
世界制覇の野望
著者等紹介
ヘルマント,ヨースト[ヘルマント,ヨースト][Hermand,Jost]
1930年カッセル生まれ。1940‐45年ベルリン、パウル・フォン・ヒンデンブルク実科ギムナージウムに学ぶ。1950年よりマールブルク大学でドイツ文学・歴史・哲学・芸術史を専攻。1955年博士号取得。1958年よりウィスコンシン=マディソン大学教授として近代ドイツ文学の講座を担当
識名章喜[シキナアキヨシ]
1956年東京都生まれ。1979年東京大学文学部卒業。1984年東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在、慶応義塾大学商学部教授。専攻はドイツ文学、ドイツ語圏SF研究
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HANA
塩崎ツトム