出版社内容情報
ドイツ国民の心情をとらえたナチズムの魅力とは何か? この問いには、現在の価値判断をもってナチズムを断罪するだけの作業では真に向き合うことはできない。本シリーズは、現場に生きた人びとの心性を、ナチズムの琴線であった文学表現により再構成するはじめての試みである。日本未紹介の作品群のなかから、テーマ別・表現形態別にポイントとなるものを選択、各巻の巻末には解説を収録する。年2回刊・全13巻の新シリーズ。
ナチス・ドイツの精神的支柱として重要な機能を果たした〈ドイツの運命〉という観念を、ヨーゼフ・ゲッベルス『ミヒャエル――日記が語るあるドイツ的運命』、ハンス・ハインツ・エーヴェルス『ホルスト・ヴェッセル――あるドイツ的運命』の2作品で紹介する。
内容説明
不当な現実への反逆のため、自己を犠牲にして前進する青年たち―現場で読まれた文学表現からナチズムが理想としたものに迫る。ソヴィエト・ロシアとの思想的模擬戦を展開したゲッベルスの日記体小説『ミヒャエル―日記が語るあるドイツ的運命』(1929)と、ナチズム運動によって神話化された英雄を描いたH・H・エーヴェルス『ホルスト・ヴェッセル―あるドイツ的運命』(1932)の2作品を収録。いずれも本邦初訳。
著者等紹介
池田浩士[イケダヒロシ]
1940年、大津市生まれ。1963年、慶応義塾大学文学部卒業。現在、京都大学総合人間学部教授。専攻=ドイツ文学・現代文明論
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