内容説明
本書はいわゆる「語り物文学」(軍記物語・幸若舞・原初古浄瑠璃)の諸ジャンルにわたり、それらに属する諸作品が“かたり”を反映していると認識される要因を現存本文の分析から探ったものである。上記三ジャンルの本文を網羅的に電子化し、文節データベースを作成し、開発したプログラムにより一貫した処理をなして、諸作品の現存本文に潜在している共通の基本構造を析出し、その構造がそれぞれのジャンル・作品でどのように変化していったかを具体的に跡付け、中世日本において“かたり”という言語行為がどのような意味を持っていたかを考えるきっかけとした。
目次
同文重出に見る語り物表現の特性(問題提起として)―古浄瑠璃『十二段草子』から幸若舞曲「満仲」に遡る
幸若舞曲の重出複合文節の考察―「幸若」から「平家」へ
語り本『平家物語』の表現構造(巻第九「木曾最期」を中心として;屋代本巻第十の定型表現を手懸りとして;巻十一を中心に)
『平家物語』の「語り」性について
半井本『保元物語』の「語り」と本文の形成
『平治物語』の統辞法―第一類から第四類へ
第四類『平治物語』の統辞法
中国中世小説の視座から
中国中世小説への視座―語ることと書くことと
-
- 洋書電子書籍
- The Jewish Annotate…