内容説明
本書は、心性史の方法的在庫品を豊かにするために、その一つの新たな方法として神話学的方法を提示し、かつこの方法の意義と適用可能性について考察するものである。二部構成をとっており第一部は、神話学的方法の特質を、この方法が登場したドイツ教育学の現代的動向の中に位置づけつつ解明。第二部は応用研究であり、この神話学的方法の適用可能性を探るために、神話学的方法をわが国における「一人前」に関する観念の歴史的再構成に適用する試みである。
目次
第1部 現代教育学における神話学的教育研究の意義(問題提起;80年代ドイツ教育学におけるポスト・モダンの受容―その概観、評価、展望;D・レンツェンの教育の神話学の特質とその適用可能性について―脱神話(学)化と再神話(学)化、近代プロジェクトとポスト・モダンの間での教育神話の歴史的再構成)
第2部 わが国における「一人前」観念の神話学的探求(わが国における「一人前」と人間変容に関する神話学的考察;「気」の概念と日本的教育学―日常的教育目的としての日本的「気」の形成に関する分析;日本的な「自己」と教育の三層構造に関する試論)