出版社内容情報
小山薫堂 氏, 推薦!「おいしい店を探す暇があったら, この本を読むべし! おいしさの正体を知ることで, あなたの人生はもっと豊かになる. 」
「なぜ人はそれをおいしいと感じるのか」――この問いの深層を探るため, 日々, 調理現象を科学的に解明している著者が, 「祈り」をキーワードに思索の旅に出る. 本書の祈りは, 食にまつわるあれこれに思いをめぐらせる, ささやかな「間」のこと. 想う, 食べる, つくる, 分かち合う, 選ぶという, 五つの祈りを通じて, 食と世界とのつながりを見つめ直す. 科学だけでなく, 文学, 哲学, 美学, 文化人類学など, さまざまな視点を交差させながら, 「おいしさとは何か」の本質に迫る. 科学と祈りのおいしい出会いの書.
【目次】
はじめに――「おいしさ」の向こう側へ
第1章 想う祈り――見えないつながりに気づく
一 舌ではなく, 記憶がおいしさを決める
目に見えないおいしさの輪郭
数値化の網からこぼれ落ちるもの
おいしさには, 宛名がある
コラム① ガストロフィジクス――おいしさは舌の上だけで決まらない
二 距離を保つ「美」, 内側に招く「食」
なぜ美という字の中に「羊」がいるのか
「食べない美」という鏡
消える芸術
コラム② 神経美学とニューロガストロノミー――食卓の体験を価値へと変える脳の回路
三 「いただきます」という, 現代の水平な祈り
なぜ私たちは, 食卓で手を合わせるのか
「いただきます」という意図的な停止
「ごちそうさま」という想像力
コラム③ マインドフル・イーティングの生理学―一呼吸の注意が満足感を深くする
第2章 食べる祈り――奪った命を内側に迎え入れる
一 奪うことの痛みと, 託されることの責任
行き先を失った現代の小さな儀式
神を恐れ, 神とともにし, 神が去った食卓
隠された殺生への, 誠実な応答
コラム④ 祈りの科学――不確実な世界を生き抜くための自己調整システム
二 身体を整えながら, 世界と調律する
おいしさをめぐる体内の対話
動的平衡と命の受け渡し
空にして, ふたたび整う
コラム⑤ ニューロバイオティック・センス――共生する微生物と対話する「第六感」
三 「残してはいけない」を, 感謝してほどく
儀式を生み出した飢えの強烈な記憶
捨てる前のためらいの正体
自分の「器」の大きさを知る
コラム⑥ 「もったいない」の認知科学――モノに心を感じてしまう脳のアラーム
第3章 つくる祈り――時間を差し出し, 自然に委ねる
一 調理が贈与に変わるとき
初めて料理をつくったときの記憶をたどる
茶の湯に見る, 極限の他者配慮
想いを操作と物質へ翻訳する
コラム⑦ イケア効果の行動経済学――ほんの少しの手間が愛着を最大化する
二 台所という動的瞑想の場
「いま, ここ」に帰るための所作
調理しながら, 食材と対話する
人にやさしく, 食材にもやさしく
コラム⑧ 創造性を生む脳内ネットワーク――調理における「スポットライト」と「バックグラウンド処理」
三 思いどおりにならない自然に委ねる
半分は, 時間がつくる
発酵という見えない相手との共演
完璧にコントロールできないからこそ, 豊かになる
コラム⑨ メイラード反応と熱力学――自然に「なる」料理と, 人間が「導く」料理
第4章 分かち合う祈り――食卓をともにし, 「私たち」を編み直す
一 孤立を溶かす



