出版社内容情報
もしも「古代生物水族館」をつくるとしたら……それも日本近海に生息した水生生物の水族館を.そんな妄想のような水族館の紙上建設が,いよいよ現実味を帯びてきている.この水族館を構成すると目される,日本各地の絶滅した水生生物にまつわる研究の紹介をとおして,発掘調査を始めるまでの手続き,化石発掘の手法,クリーニングから復元,論文発表まで,知られざるエピソードともに,古生物学研究の醍醐味を大いに語る.「古代生物水族館」完成に向けた研究は,まだまだ続く.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
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恐竜、特に魚竜を専門にして研究を続けている中島保寿さん。骨や歯しか出てこない。情報は時間とともに失われていく。色彩、音、動き、何も残っていない。古生代、何億年も昔に一瞬でも行くことができたなら、生物が巨大化し、多様化した世界を知ることができるのに。私たちが想像できているのはほんの一部にすぎない。古生物の研究は、現代で古生物を飼育する「ジュラシック水族館」を建設するような作業だと著者はいう。表紙のように、水槽越しに古代に思いを馳せる未来はあるのだろうか。自然科学分野の普及をするDOJIN選書から出版される。2025/05/04