出版社内容情報
元素のふるさとである鉱山から元素を取りだし,素材として役立つまでの道のりを図や写真をもちいて紹介.鉱山開発の始めから終わりまでを示す多くの写真や図は,元素好きの多くの人たちを魅了します.同時に,鉱物から元素を取りだすまでのキーワードや,どんな元素が地球のどこにあるのか,元素の値段はどうやって決まるかなど,経済との関係についてもイラストで図解します.さらに,中・遠未来の潜在資源の一例として,海底資源開発についても触れています.
内容説明
鉱石が金属になるまでの流れをたずねてみよう。金属ってどこからきたの?いま話題の資源経済学や地政学につながる!
目次
第1章 地球の成り立ちと鉱石(地球と金属元素―メタルはどこにあるか;どんなメタルが、どれくらい使われているか ほか)
第2章 鉱石が素材になるまで(鉱石とは;採鉱から製錬までの流れ ほか)
第3章 生活と産業をつくりだす元素―ベースメタルが素材になるまで(銅;鉄 ほか)
第4章 ハイテクを支える元素―レアメタルが製品になるまで(リチウム;ベリリウム ほか)
第5章 元素資源の未来―深海底での開発は進むか(探査の進歩と未探査地域の探索;埋蔵量を増やすには ほか)
著者等紹介
西山孝[ニシヤマタカシ]
1939年京都府生まれ。1965年京都大学大学院資源工学専攻修士課程修了。京都大学名誉教授。工学博士。専門は資源経済学、資源地質学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
47
金属元素に特化した内容です。フルカラーで鉱石の産地や加工製品が紹介されているのはよくある内容かもしれませんが、とにかく説明が面白い!視野が広く、ただ元素を紹介するのではなく社会問題(枯渇・独占・環境問題・労働者の危険など)も丁寧に説明されており、政治的な部分も興味深かったです。大変勉強になりました。読み友さんの感想を読んで。2023/04/26
みき
44
その重要性に対してあまり語られることのなかった、鉱物についての本。どの資源が将来的な枯渇が予測されているのか、自然界にどうやって存在しているのか、どう製錬されているのかが分かりやすく解説されており普通に楽しく読むことができました。日本は資源小国としてのイメージが強いせいか、主な産出国が日本となっているモノがあると素直にへぇぇ!となったり知らない鉱物を知ることが出来たりと非常に良い読書をすることができたなと。レアメタルやレアアースなどを使いこなす人間の叡智って凄いなと改めて感心しました。2022/10/03
更紗蝦
32
採掘した鉱石から金属元素を取り出し、素材として使うまでの「流れ」を解説している本です。「科学のロマン」を啓蒙する方向性ではなく、経済や産業の観点から「資源というものがどういう風に扱われ、どういったことに必要とされ、枯渇させないためにどういう取り組みがなされているのか」に比重を置いた内容となっているので、「科学ってオモシロイ!」「技術ってスゴイ!」と無邪気にアピールするスタンスではないところが、とても良かったです。鉱山の崩落事故や廃棄物処理問題にもきちんと触れています。2023/03/23
canacona
24
netgalleryにて。表紙から、キラキラした内容かと思っていたら、至って真面目な内容でした。鉱山について、掘り方について、精製について、そこからの活用などなど、まさにふるさと。一つ一つの元素について、同じような説明が続くので、最後はななめ読みでした(^^ゞ2022/05/14
itokake
19
生産量でみると鉄がダントツで世界一。一方でレニウムは53トン。「鉄の生産量がクジラの大きさとしたら、レニウムはメダカぐらい」と著者は巧みに表現する。言語センスのいい著者の本はおもしろい。鉱物として掘り出し、様々な製品に活用される元素をほどよく紹介した良書。寝る前に少しずつ読んだ。鉱山の写真にわくわくし、鉱物に見とれ、生活を支える様々な技術や製品にふれて、元素を身近に感じた。海底に転がるマンガン団塊の核にサメの歯があるなんて、初めて知った。2023/07/18