内容説明
アシカ、イルカ、フクロオオカミ、タスマニアデビルは?MRIの脳画像から見えてくる、動物たちの心の内。
目次
イヌがイヌであるのはどんな感じか
マシュマロテスト
なぜ脳は存在するか
アシカを捕まえる
兆し
音で描く
ビュリダンのロバ
動物に話しかける
タスマニアでの死
孤独なトラ
イヌの実験
著者等紹介
バーンズ,グレゴリー[バーンズ,グレゴリー] [Berns,Gregory]
MD,PhD。エモリー大学心理学教授。Center for NeuropolicyおよびFacility for Education and Research in Neuroscienceのディレクター。アトランタに、妻とたくさんのイヌとともに住む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃも
14
MRIの脳画像を人間と比較しながら動物の内面を推測していく過程が素晴らしく面白い。人は名詞でとらえるが犬は動詞でとらえているのではないかという考察が印象的だった。人間同様の言葉を持たない動物の内面を言語化する難しさを感じる。タイトルに対しての明確な答えはないが、「脳を調べた動物のうちいずれであっても、皮膚を持つ動物は感情を持つ可能性が非常に高いということ、そしてその主観的経験はある程度、人間のものに似ているということだ。」と云う記述を頼りに読み手が感覚として感じ取るしかないのかもしれない。今はまだ…。2023/11/26
ローレンツ🐾
12
著者の素晴らしいところは、犬に苦痛を与えず、拒否する権利を持たせて科学的検証を行ったこと。脳のMRIは犬にとどまらず、アシカ、イルカ、タスマニアデビル、絶滅種のフクロオオカミまで!(犬以外は生体ではないが)科学の素晴らしさを感じた。そして、人間以外の動物たちにもやはり意識と自己認識があると感じられる。文中で最後の一匹となったフクロオオカミが死にゆく様をフクロオオカミの視点で綴られた文章は胸が締め付けられた。素晴らしい本です!2021/04/30
K
5
犬の脳をMRIで撮影する。拘束したり強制したりするわけではなく、訓練して自らMRIに入るようにする。その試みに驚いた。と同時に人間の脳の研究をしているのなら他の動物の脳をMRIで撮影して人間の脳と比べる研究が今まで無かったのが不思議。犬には感情があることを脳科学から明らかにしたが、犬以外の動物にも恐らく感情があるのだろう。そう考えると動物園や水族館にはもう行きたくないし、肉や魚をいただく気持ちも今まで以上にありがたく感じる。2021/03/19
hal
5
今の脳科学はここまで来てるのか、と改めて興奮させられた。著者の動物実験に対するスタンスにも共感。 脳の機能面から内面を探り、得られた犬の認知像はなんか納得。面白かった。2021/02/02
ちょ
3
この本では、むしろ「動物の意志」が主軸になっており、 脳イメージングで解き明かそうとしています。 犬を訓練によりMRIに入って課題をできるようにし、 自制心や価値判断に迫ります。 本作では、アシカの大量死・天然毒の影響や ハンドウイルカのエコーロケーションに関する脳科学からの考察、 絶滅したフクロオオカミ(タスマニアタイガー)の残された脳の手がかり集めなど。 万人におすすめする本ではありませんが、 動物実験や脳科学の実験に携わる人は、一読の価値があると思いました。2022/01/27