出版社内容情報
入江 尚子[イリエ ナオコ]
著・文・その他
内容説明
自在に動く長い鼻、大きな耳をパタパタ動かし、優しいまなざしをした、地上最大の哺乳類にして動物園の人気者。そんなゾウのことを知らない人は、おそらくいない。超メジャーなゾウだが、体のつくりや野生での暮らしぶりについて、どのくらいご存じだろうか。あるいは、低周波音を使ったコミュニケーション能力、記憶力、絵を描く能力、足し算をする能力といった知能についてはどうだろう。本書では、知ってるようで知らないゾウの魅力を、ゾウ愛にあふれる著者があたたかな筆致で語り尽くす。
目次
第1章 ゾウという不思議な動物(進化の過程―大きな体と長い鼻を獲得するまで;完成“ゾウ”の体 ほか)
第2章 愛情いっぱい!ゾウの一生(家族の絆;家族を超えた仲間との絆)
第3章 カエサルも認めたゾウの知能(陸上最大の脳;数を認知する)
第4章 ゾウの特殊能力(予知能力とテレパシー!?;ゾウは芸術家!?)
第5章 ゾウと暮らす(ゾウと狩猟民族;ゾウと信仰 ほか)
著者等紹介
入江尚子[イリエナオコ]
大阪府生まれ。幼いころより動物に囲まれて暮らす。2001年、東京大学に進学し、動物行動学を学ぶ。2010年、アジアゾウの足し算能力の研究で、同大学博士号(学術)取得。現在、駒澤大学および立教大学兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
107
ゾウの不思議、その種類、生態について。ゾウは体が大きいのでわかりやすい動物かといえばそれは外面のことで、視覚や聴覚、記憶力など未知のことも多いそうだ。側頭葉が発達していて記憶力が優れている。人間はしゃべることが出来るとはいえ彼らは低周波数を使ってのコミニュケーションも出来るとすると人より頭がいいね。クジラにしてももし話が出来たらきっと殺そうとなんて思わないなあ。そのくせ話がもめたりうるさいと言って殺すのも人。人間は本当に言葉を持ってよかったのか悪かったのか・・・図書館本 2022/07/01
けんとまん1007
58
ゾウ。像のイメージは・・・大きい、力強い、優しい、賢いというのがある。実際、動植物の持つ能力の研究は、まだまだの状況で、まだまだ未解明のことが多い。最近、そんな本を何冊か読んでいるので、興味が尽きない。像はその中でも、社会性の強い動物だと思っているが、やはりそうなんだ。なんか、無性に像に会いたくなってきた。2022/03/16
しげ
29
研究者の象「愛」が伝わる本書でした。先日、京都の養源院にて「血天井」と俵屋宗達の迫力ある「白象図」を見学しました。仏教では御釈迦様の受胎を夢で白像が伝えるなど尊敬と畏怖の象徴と学ばせ頂きました。私の世代は幼少時聞かされた上野動物園での悲しい象の話しが印象深く思いだされます。著者が研究で訪れたタイを旅行し象に触れてみたいと思いました。2022/05/06
PAO
16
「ゾウは、人間の驕りを戒めるために、大自然が使わしたメッセンジャーのような存在なのではないでしょうか」…《ゾウを知りゾウから学ぶ:ゾウオロジー》を提唱しゾウへの愛いっぱいにゾウの魅力を語る本。ゾウさん好きの私にはたまらない一冊でした。それにしても三味線のバチ二本を作るために立派な牙を持つアフリカゾウ一頭が殺されるという現実に日本人はどう向き合うべきなのでしょうか。アフリカでは牙のないゾウの個体が増えているというニュースを聞いたことがあります。象牙を狙われないために自然がなした悲しい選択なのでしょう…。2022/04/20
イエローバード
16
ゾウの認知能力や心理の研究者が、日本やタイでの実地調査を通じて学んだことを、楽しくわかりやすく説明してくれる。ゾウは賢いだけでなく、仲間や家族への愛情がすごく深いのだとよくわかった。低周波音を聞き分けることで数十キロ先の仲間と会話したり、津波の轟音を聞き取っていち早く逃げたりというのもびっくり(そのせいで予知能力があると勘違いされたとか)。なによりも、写真で見るゾウたちの可愛さは感動モノ。ワクチンを受けたら、「市原ぞうの国」に行きたいな。2022/03/18