内容説明
福島第一原発事故による放射能漏れは、人びとにどのような影響を及ぼすのか。チェルノブイリ原発事故から25年、この間に発表された報告書や論文に示されたデータを詳細に読み解くことで明らかになってきたことは何か。いつ終わるとも知れない原発事故。放射能汚染という現実に直面したいま、どう対処していけばよいのだろうか。チェルノブイリの教訓を生かすべく、疾病の発生リスクを分析する疫学も学んだ小児科医による、原発事故への処方箋。
目次
第1章 爆発
第2章 影響
第3章 飛散
第4章 病気
第5章 リーダー
第6章 処方箋
著者等紹介
浦島充佳[ウラシマミツヨシ]
1986年東京慈恵会医科大学卒業後、附属病院において骨髄移植を中心とした小児がん医療に献身。93年医学博士。94~97年ダナファーバー癌研究所留学。2000年ハーバード大学大学院にて公衆衛生修士取得。2006年より東京慈恵会医科大学准教授。小児科診療、学生教育に勤しむ傍ら、分子疫学研究室室長として研究にも携わる。9.11米国同時多発テロに強い衝撃を受け、医師として大勢の尊い命を守るべく活動するようになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
報告書や論文を読む限り、チェルノブイリ原発事故が旧ソ連にもたらしたものは、政府に対する不信感や慢性的なストレスであり、25年経った今も、多くの人びとが苦しめられている。 2022/09/26
Meistersinger
1
出版が2011年4月という事で事故後わずか3ヵ月で精密な被害予測がなされていた事は驚き。そして、そういった予測を顧みる事なく不要な大騒ぎで多くの人が被害を受けた事も。危機対応の基礎として「想定される情況全てについて考えて対応策を作る」というのは重要。2015/04/09
びわまる
1
チェルノブイリと福島の原発事故、政府の対応、人体への放射線の影響、原発事故によって引き起こされる社会病理、などについて、多くの論文やデータにあたって比較検討し詳細に読み解いており、丁寧に真摯に書かれた本だと思う。政府がパニックや風評被害を抑えようとするほど、人々がかえって苛立ち不安になったのはなぜか、など、リスク・コミュニケーションの項目が興味深かった。自分や家族ならどう行動するか、が具体的に書かれているので参考になる。何冊か読んだ放射線関連の本の中で、私にとっては最もしっくりくる内容だった。2012/01/09
hata2
1
チェルノブイリ事故などのデータを検討し、福島原発事故の影響を丁寧に考察しており、感情論ではなくデータを基にして論を進めるので、政治的なバイアスを気にする事なく安心して読める。事故の1カ月半後に脱稿しているせいか、当時の切迫感が伝わってくる。2011/10/22
odorusyounikai
0
著者は小児科医で疫学的研究の専門家。当然のことながら方法論や論理には間違いはないようだが受け取り方には注意が必要。どちらかというと疫学の有用性よりも限界を露呈している。見ようとしなければ見えないしデータは出ない。「チェルノブイリで甲状腺がん以外は何もなかった」「親のストレスの方が問題」2011/11/14




