内容説明
ヒトの性現象を、生殖器、性生理、性行動、性交渉、雄と雌の関係性が密接に関連し合った複合体としてとらえたとき、性や愛をどう描き出すことができるのか。“生殖器の進化”という切り口によって、系統的にヒトと近縁な動物たちとの比較分析をし、生殖器と密接に関連する要素を総合的に考察しながら、性複合体としてのヒトの性のありさまを浮き彫りにする。繁殖にまつわる性現象にとどまらず、愛も理解するヒントに満ちた野心作。
目次
第1章 性を決めるもの
第2章 繁殖をめぐる内なる戦い―雄の内生殖器
第3章 いかに良い遺伝子を獲得するか―雌の内生殖器
第4章 ヒトのペニスはなぜ突出しているか―雄の外生殖器
第5章 性信号を発しているか?―雌の外生殖器
第6章 愛はなぜうまれたか―生殖器の進化と人間の性
著者等紹介
榎本知郎[エノモトトモオ]
1947年鳥取県生まれ。74年京都大学理学部卒業。理学博士。現在東海大学医学部准教授。専門は霊長類学。長年ニホンザルとピグミーチンパンジーの行動研究に従事してきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かさお
30
ギョッとするタイトルに思わず手が伸びた図書館本。しかし中身は普通の生物学と大差ない。アフリカなど未開の地での処女性を尊ぶ文化の紹介とか奇抜な話もあったが、結局は進化とか淘汰とか、ヒトと動物との違いについての話。新たに得た豆知識は1.サルは閉経したら死ぬらしいが、ヒトは閉経後の人生が長い。2.キラー細胞と同様にキラー精子がある。著書自身、「生殖器を突破口にヒトの性現象の進化を捉えようと意気込んだが、各要素の研究が乏しく相互を関連づける事が難しかった」と正直に書いてある事が正直で好ましいぐらいかな😅2023/09/12
Tomomi Yazaki
13
身も蓋もない題名に、買うのを躊躇したことは想像に難くないでしょう。おかげでカムフラージュのために沢山本を買っちゃったけど、好奇心には敵いません。えーと、言い訳はこの辺にして、本書はそのあられもない題名に反し、かなり真面目な内容です。それは性の発生からヒトの男女の違い、そして他の生物との比較から始まっている。特に霊長類各種との違いは殊の外、興味が持てる。ただ~し! 挿絵はタモリさんもびっくりするほど具体的で、通勤電車では、何気なく読者カードのはがきで隠し、顔を赤らめドキドキしながら読みました。2021/09/14
たお
3
進化の流れにおいて、生殖による遺伝子の選別はどれ程の仕組みを持っているのだろうか。そういう本です。 医学的であり、生物学的な見解が面白く、十年前に買ったんだけどもっと早く読めばよかった。 十年前の本だから、ジェンダーの認識が若干古い部分は目を瞑ってください。2019/02/13
takao
2
ふむ2022/12/07
ユウユウ
0
図書館の新着本コーナーにあって何の気なしに読んでみたのだが面白かった。様々な動物の性器や性行動の違いを進化に乗っ取ってわかりますく述べている。最終章での筆者の主張「遺伝子の理論と個体の理論は違う」というのは、傾聴に値するが、不倫や浮気を正当化する人には耳の痛い話だろう。