内容説明
左ききは器用?左ききは怪我をしやすく短命?同性愛にきき手の影響がある?なぜ右ききの人が多いの?右ききと左ききの脳は違うの?きき手はいつ決まる?きき手の矯正はよいこと?ニホンザルは左きき?ネコにもきき手はある?きき手をめぐるさまざまな俗説、珍説、迷信。世界で行われた研究例を示しつつ、その不思議を探求する。
目次
第1章 優れる左きき
第2章 安全でない左きき
第3章 左ききの諸相
第4章 きき手の決め方
第5章 なぜ右ききが多いのか―きき手成立のメカニズム
第6章 きき手と脳のはたらき
第7章 きき手はいつ現れ、いつ決まるのか
第8章 左ききの矯正はよいことなのか
第9章 動物にもきき手はあるか
著者等紹介
八田武志[ハッタタケシ]
1945年滋賀県生まれ。68年大阪市立大学文学部心理学科卒業。大阪教育大学心理学教室教授、名古屋大学大学院環境学研究科心理学講座教授などを経て名古屋大学名誉教授、現在関西福祉科学大学健康福祉学部健康科学科教授。文学博士。専門は神経心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
29
本来は同数であっても不思議はない「利き」に、なぜ非対称が生まれているのか。天才が生まれやすい、寿命が短い、発達障害が生まれやすい、右利きと脳の認知機能が異なるなど様々な仮説を実証しようとしたデータが多数登場します。それらを基に書かれていたのは、はっきりしたことは言えないというものです。そもそも、左利きの定義を利き手とするのかどうかということから統一的な見解がありません。そこで登場するのが、左利きを右利きに矯正した「非右利き」というカテゴリーです。生活に立脚すると、LGBTを思い起こさせるマイノリティーが登2018/11/09
小木ハム
14
著者は神経心理学の先生。アカデミックな内容で論文を読んでいるかの様に疲れますが利き手研究の参考書籍として抜群です。海外からの引用文献が膨大で、その数180以上。よくここまで調べたなぁと脱帽致します。必要な時にまた読み返すのが良さそう。左利きは短命?→左利きというより"両手利き"が怪我しやすい傾向にあるが、それを死亡率と関連付けることはできない。女性よりも男性に左利きが多いので、単純に平均寿命が"男性寄り"になっているという見解。2021/05/24
おーすが
14
雑学的な内容ではなく、これまでの学術的研究をまとめた内容。左利きと右利きと非右利き、両利きの比較が面白い。だが有意に違うと言い切れるものは少ないようだ。ただ空間的認識については左利きに軍配があがりそう。一般に頭が良いとされる人も多いようだ。左利きの娘にそのことを伝えてみたが、じゃあママは左利きになりたい?と逆に聞かれ、うーん、わからない、と思った。2020/11/07
奏
12
一般的に言われている『左きき=○○』(短命、スポーツで有利など)の真相に迫ったり、きき手と脳の関係、きき手の判断の仕方、そもそもきき手はいつ決まる?といったことについて書かれた一冊。結局何だったのかよくわからない部分が多かったけど、きき手の研究や他の動物のきき手事情など、新しく知ったこともあったので無駄ではなかったかな。2018/03/13
kenitirokikuti
8
図書館にて。緩めに読了。利き手研究には流行りあり。ビクトリア朝に両手利き運動が起きるも、特に良い結果は生まず。1930年、左利きの矯正が流行るが、矯正に失敗してどもりになっちゃう例が出た。1970年、ラテラリィ研究。てんかん患者へ脳梁を切る治療法から、右脳左脳研究が進む。1990年代、内分泌系との関連を調べる。左利きに同性愛が多い? 2000年、利き手の発生と言語の発生の関連付けが見直される▲今のところ、左利き群は右利き群と違って利き手の能力にばらつきが多いと分かっている。2021/11/11