内容説明
量子化学は広い分野からその基礎知識の習得が望まれているにもかかわらず、基本的概念がつかみ取りにくい、数式が多い、考え方が抽象的である、新しい言葉と記号がたくさんでてくるなどの理由で、最近の学生から敬遠される傾向があるようである。確かに、粒子の動きを波としてとらえるところに基礎を置く量子力学の考え方は抽象的で、初学者にとってはなじみにくい概念である。しかし、反復学習を行ううちに、その概念が次第に身につき、量子化学の美しさに感動を覚えるようになってくる。はやく量子化学の概念に慣れるためには、一つ一つの数式がどのような物理的意味をもっているか理解することにつとめる努力と、練習問題を数多く解いてみることである。本書は大学二、三年生を対象として書かれたものである。難しい式の誘導は避けたが、高校程度の数学を学んでいれば理解できる範囲で、できるだけ式の誘導も記した。また、各章ごとに数題の練習問題と解答をつけた。
目次
量子の世界
並進運動
分子回転
振動―調和振動子
水素原子
角運動量
磁気モーメント
近似法
ヘリウム原子
原子の電子状態
光の吸収と放出
二原子分子
多原子分子の立体構造
群論
分子内の相互作用
共役系分子
著者等紹介
小尾欣一[オビキンイチ]
1937年東京都生まれ。1966年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了。現在、日本女子大学理学部教授、東京工業大学名誉教授。専門は物理化学・光化学。理学博士
渋谷一彦[シブヤカズヒコ]
1947年群馬県生まれ。1976年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了。現在、東京工業大学大学院理工学研究科教授。専門は物理化学。理学博士
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