内容説明
本書では、学部上級学年ならびに大学院における講義用の教科書として、また学生、研究者の輪読、独習書として、コンピュータ・シミュレーションの初歩から全体像が把握できるようになるまでを、原理、方法論から計算の実際まで系統的に解説している。もちろん、そのためには古典力学や解析力学、そして統計力学などの知識も必要である。そこで、これまで物理の訓練をあまり受けていない化学を専門とする学生にも無理なく理解できるように、必要な力学については初めから解説している。具体的には、2章と3章で古典力学と解析力学のなかからコンピュータ・シミュレーションに必要な部分をまとめ、また7章~9章では統計力学や液体論の関連する部分を抜きだして説明してある。
目次
コンピュータ・シミュレーションの役割
コンピュータ・シミュレーションとは何か
F=maを一般的な原理で表す―古典力学・解析力学の基礎
分子の回転運動を追跡する―古典力学・解析力学の基礎
分子に働く力―分子間ポテンシャルの求め方
運動方程式を解く―数値計算の解法
長距離力の取り扱い方―エワルドの方法とMDの高速化
アンサンブルの発生―温度と圧力の制御
計算から求められる分子の世界(静的性質を表す物理量;動的性質を表す物理量)
MD計算の実際―水を例にとって
特別な熱力学量の求め方―自由エネルギー計算
配置積分に基づいたシミュレーション―モンテカルロ法の基礎
非平衡系での分子のふるまい―非平衡MDの進め方
量子系の取り扱い方―量子系のシミュレーション
著者等紹介
岡崎進[オカザキススム]
1954年岡山県生まれ。1982年京都大学大学院工学研究科工業化学専攻博士課程修了。現在、東京工業大学大学院助教授(総合理工学研究科物質電子化学専攻)。専攻はコンピュータ・シミュレーション、理論化学、溶液化学。工学博士
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