目次
第1部 報告(ケガレとは何か―原論的考察;「ケガレと差別」の歴史;“ハレ・ケ・ケガレ”の民俗学)
第2部 対談(文明の発展と不浄観;宗教史におけるケガレ論;食肉のタブーをめぐって;諸社禁忌にみるケガレ観;女性をめぐるケガレ―産穢と血穢;迷信と因襲と差別)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
noko
2
差別なく、誰もが尊重し合い、多少の気を遣い合い、暮らせればと私は思う。差別はケガレが関連している。メアリーダグラス曰く、ケガレは安定した秩序を攪乱する異分子、境界領域に有りはっきり分類できないあいまいなもの。アニミズム時代は聖俗穢は未分類だった。国による統治で分化され、王は自分を神格化。三不浄思想は、ヒンドゥーの教義が源流で仏教(特に真言密教)により日本に運ばれた。空海が学んだのは密教系だから。コロナのいわれのない偏見も、迷信からくる事が多い。迷信が定着して集団の信念になると恐怖の因習になってしまう。2021/01/31
ameco
1
小さい頃から何となく信じて忌避してきたことの起源を知ることができる。なぜケガレという思想が生み出され、それが差別の対象となったのか、とても分かりやすく書かれている。特に沖浦さんはアジアへもまたがるフィールドワークによって日本民族の起源なども論考されているため、なるほどと思う事項が多い。密教や陰陽師など興味がさらに広がった。2019/10/20
るりたまご
1
日本における差別思想に関しての長年の疑問に丸ごと答えてくれた一冊。獣肉食に関して何故猪や鹿、魚や鳥は良く、牛馬、豚はダメだったのか。仏教や神道の戒律や穢れの思想と差別の関係、月経や出産と血の穢れ、差別思想の歴史など勉強になる点が多かった。また再読したい。2015/10/05
smiy
1
アニミズムにおけるカオスから、密教の導入による聖性とケガレの分離は非常に興味深かった。また研究書庫にて再読する。2010/05/19