内容説明
「聖」から「賤」への転換はいかにしておこったのか?この列島の古代にまでさかのぼり、ケガレと部落差別の謎をいまはじめて解き明かす。
目次
プロローグ 部落差別の正体とケガレ
第1章 ケガレ観のいろんな形
第2章 部落差別のおこりとは?
第3章 中世―ケガレ観のひろまり
第4章 皮と肉(死牛馬処理)と穢れ
第5章 穢れの原義(語源)
第6章 穢れの構造―聖から賤への転換
エピローグ ケガレ意識を乗り越える
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そ吉
3
本書は部落差別という忌避しがちな問題を民俗学的な切り口で歴史的な経緯など分かりやすく解説している。 文体も口語口調で軽いタッチであるが、ここに書かれていることは日本人の民族的な源流を紐解くところから始まり、かなり盛りだくさんの内容になっている。 著者のアカデミズムでの立ち位置は知らないが、先人の学説への真っ向からの否定など、おそらく学会て発表したら査読者から袋叩きに合うだろう。 元々部落出身の著者だから「それは違う」という声を上げたのだろう。 しかし誤字が多いのは出版社としてどうかと思う。 ★★★☆☆ 2023/03/27
kanaoka 57
3
無知こそが差別を助長する。衆愚はひ弱な自己保身を強化するため、集団の道徳を高め、集団にそぐわない者への差別を煽り、強固な鎧を築いていく。そして、その過程において自らの世界をも閉じていく。すべての第一歩は、知ることから始めるべきで、直観、感情、習慣、扇動に等に注意を要することは言うまでも無い。2015/09/28
CHRONO
1
日本における部落差別の発祥を古事記の時代までさかのぼり、言語的な意味の変遷や、歴史的な被差別民や部落に対する権力者の政治的な扱いを説明。文体が砕けすぎていてかえってわかりにくさもあるが、勉強になった。ただ、海外からの影響についての考察があまりにも少なく、部落差別を日本独自のもの(西洋や中国では解消された)と言い張っているが、インドのカーストについてはどうお考えなのでしょうかね。2021/02/20
yuu
0
部落差別の歴史を再確認するために手に取った本。新しい研究内容を知ることもできてよかった。文体としては差別問題を扱っているけれども、砕けた感じなので変に暗くなりすぎないよう気を配っているところに好感が持てた。2010/11/25
aray
0
読みやすいし大変勉強になりました2021/09/23