内容説明
生まれ故郷・新宮の路地を見続け差別の構造に向き合い自己を冷徹に対象化した中上作品をフィールドワークする書。
目次
書くこと、被差別、解放
「一番はじめの出来事」と「十九歳の地図」
「岬」まで
「岬」の世界
「枯木灘」へ
「枯木灘」の世界
「枯木灘」以降
「鳳仙花」へ、試論としての「大島」
「鳳仙花」の世界
『熊野集』の世界
『千年の愉楽』の世界
『地の果て 至上の時』の世界
著者等紹介
守安敏司[モリヤストシジ]
1948年、大阪生まれ。水平社博物館(奈良県)館長。大阪府、奈良県の中学校・高等学校で英語教師を務めた後、83年から奈良県部落解放研究所(現、(財)奈良人権・部落解放研究所)勤務。92年以降、水平社博物館建設に携わる
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感想・レビュー
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じめる
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作者がなぜ作品を書き得たのか。この作者論集には、文芸の世界からは少しだけ離れたところから文学を論じる筆者の姿がある。筆者は己の読みは確実に調べられた情報を基盤にし、そこから初めて推論へと飛ぶ。既存の作品分類を疑いそうやって己の分析を構築してきた筆者の説は、そこに歪められていない中上を描き、接近するような錯覚を覚える。もちろん論の一つに過ぎないため、真実であるといったようなことはまったく考えられはしないけれども、筆者の姿勢とそこから導き出された中上像は一読の価値があった。2013/08/27
hiratax
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(2005)文芸評論家から発せられたものではない中上論。ブックオフで「部落解放」の中上特集を買ったこともある。同誌には文学賞があり識字部門というものがあることを知った。これは文字を覚えた人たち向けの賞で、老人が小学生が作る童話みたいな文章を寄せている。2005/03/29