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内容説明
関東大震災と遊郭、空襲と戦没者、ヤミ市・寄せ場の光芒、GHQと土地接収、卸売市場と屠場の近代史…。変貌する東京周縁を歩く異色ノンフィクション。
目次
1 下町篇1(「玉の井」の残照を求めて 東向島;水の都・東京を再発見する 日本橋からスカイツリーへ;カオスの交差する街 築地;都市の周縁を流離う 吉原)
2 下町篇2(東京初空襲の現場を訪ねて 荒川区尾久;朝鮮学校とともに生きる 江東区枝川;かつて労働者の街があった 山谷)
3 都心・山手篇(ヤミ市からチャイナタウンへ 池袋西口;ニューカマーとオールドカマーが行き交う 新大久保;戦争の記憶が伝わる場 千鳥ヶ淵・本郷・早稲田;芝浦屠場と東海道最初の宿場町を歩く 品川)
4 郊外篇(GHQに接収された漁師町 羽田;人口問題を一〇年先取りした“夢の団地” 高島平;シュプレヒコールが聞こえる 横田基地)
著者等紹介
井上理津子[イノウエリツコ]
ノンフィクションライター。1955年奈良市生まれ。タウン誌記者を経てフリーに。人物ルポや食、性、死など人々の生活に密着したことをテーマにした作品が多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pirokichi
21
2020年1月から22年3月まで、関西出身のノンフィクションライターの著者が「観光的でない東京」を歩いた記録。「玉の井の残照を求めて 東向島」「都市の周辺を流離う 吉原」「朝鮮学校とともに生きる 江東区枝川」「芝浦屠場と東海道最初の宿場町を歩く 品川」等全14篇。1篇は短いけれどかなり濃厚な味わい。私は上京して30年以上経つが、知らないことばかり。電車やバスでぼんやり町を通過しているけれど、それぞれの歴史があるんだなあ。まずは本書を手に、『濹東綺譚』(永井荷風)に登場した「玉の井」を歩いてみようかな。2024/12/21
やご
1
「観光的でない東京」を歩いてみる、という企画で雑誌連載された記事全15回をまとめた本です。たしかに観光客はあまり行きそうもないところが選ばれています。ただ、選ばれている地域は東京の東部が多くて、埼玉県南東部・東武伊勢崎線(スカイツリーライン? 何それ?)沿線の民であるわたし自身にとっては、ちょっと知っているとかそばを通ったことぐらいはあるという地区がほとんどでした。まったく知らない、近くにも行ったことがないところというと、(続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/1656.htm2025/06/02
onepei
1
横田基地の状況は知らなかった2025/05/25
Go Extreme
1
歴史と現在(玉の井、築地、吉原、尾久、枝川、小塚原等) 玉の井:かつての色街「キングポイント」の痕跡と現在 水の都:隅田川、首都高下の川、石川島人足寄場、横十間川の記憶 築地:移転後の場外、厚焼き卵、すし塚、本願寺(伊東忠太)、GHQ接収史 吉原:遊郭時代の堀・塀・大門跡、猪牙舟、見返り柳、ソープランド街へ 尾久:東京最初の空襲地(ドーリットル空襲)の記録と戦後の姿 枝川:在日コリアンタウンの歴史、強制移住、土地裁判、自主管理 小塚原・山谷:刑場の記憶(解体新書)、日雇い労働者の街、山谷争議、支援NPO2025/04/16
百舌鳥隆
1
抑圧された人々の歴史と今をいくつかのトピックに分けて伝える。印象的だったトピックがいくつかあるが、特に印象に残ったのが一都九県の上空(最低2450〜最高7000m高度)が米軍管理下にあり、日本の飛行機は許可なしに飛べないという話だった。私たちは、「私は差別主義者ではない」という人も含めて意識的・無意識的に弱い立場にある人たちを差別していると思うが、日本全体がアメリカに差別されていると感じた。いわば差別の入れ子状態にあるわけである。そのことも含めて多くの気づきを与えてくれる一冊。2025/03/17