目次
都市大阪のなかの差別
続トピックス編(監獄署と博物場;市民館と社会部;避病院と済生会;善隣館と愛染園;太鼓と皮革;公教育と私教育;水平と融和;焼土と住宅;仮小屋と生活館;紹介所と自彊館;労働者と診療所;勤労と就学)
補論 近代地図から読み解く都市大阪(大阪市区改正とその変遷;衛戌地としての城趾;身体の規律と学校・工場・監獄;交通網の整備と鉄道・橋梁;遊興空間の再編と文化;四カ所・七墓と攝津役人村)
著者等紹介
吉村智博[ヨシムラトモヒロ]
1965年1月京都市生まれ。1988年3月立命館大学文学部史学科日本史学専攻卒業。2012年3月大阪市立大学博士(創造都市)“論博”取得。専攻は、都市周縁社会史。現在、大阪市立大学特別研究員、大阪教育大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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狐狸窟彦兵衛
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「かくれスポット大阪」の続編。差別された貧者の教育や生活向上の寄与した人たちの列伝の趣があります。身分社会が崩壊して近代化が推し進められる中で、地理的状況からも「周縁部」に追いやられ、十分な社会政策を受けられなかった人々が、戦争被害の中でさらに「バラック住民」「不法占拠者」として、逸脱者の烙印を押されてきた歴史と、貧困や差別に立ち向かった人々の苦闘が、淡々を描かれています。モダニズムと評される「大大阪」の陰の部分に光を当て、大阪の近代化とはなんだったのかもう一度見返すときの道しるべとなりそうな本です。2015/08/19