内容説明
酔って暴れた武士を袋だたきにして逃げた五人。五人を差し出さねば「むら」を焼き払うと役人は告げた。無実の罪に「むら」は…。今もこの「むら」で、いのちはにぎわっている。江戸末期の史実をもとに作られ、自費出版されていた作品の再版。『原爆の図』丸木俊“幻”の絵本。「むら」の苛酷な歴史を、確かな筆力で描いた名作。
著者等紹介
そのだひさこ[ソノダヒサコ]
福岡県に生まれる。九州大学大学院で滝沢克己(神学者・哲学者)に師事。一方20代のはじめ、井元麟之に出会い「むら」との関わりを続ける。福岡部落史研究会の初代からの同人。福岡市の人権読本中学校用『ぬくもり』を執筆・編集。文学修士・教育修士。現在、九州産業大学で部落問題論を担当している
丸木俊[マルキトシ]
1912年、北海道生まれ。女子美術専門学校で洋画を学ぶ。戦前はモスクワ、ミクロネシアに長期滞在し、スケッチ多数を描く。1941年に位里と結婚し、美術文化展、前衛美術展、さらに女流画家協会展に精力的に出品を続ける。数多くの絵本を手がけ、『日本の伝説』(講談社刊)でゴールデンアプル賞、『おしらさま』『ひろしまのピカ』(小峰書店刊)、『つつじのむすめ』(あかね書房刊)、など民話、記録、創作のあらゆる分野の絵本で数々の賞を受ける。2000年1月13日、永眠。87歳
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感想・レビュー
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ヒラP@ehon.gohon
13
【再読】大人のための絵本2022/09/24
雨巫女。@新潮部
10
《図書館‐新刊》福岡の話だとは、思いませんでした。まさか、無実なのに皆を守り、死んでいった五人を知ってほしい。2012/07/26
べべっち
7
【図書館】一姫@読書週間中の読み聞かせ。深い…なかなか説明するのが難しかったです。2015/11/03
ochatomo
4
図書館でゾロトウさんと隣並びで手にとる 福岡の被差別部落の伝承話 作者が最晩年の丸木俊さんに挿絵を依頼し自費出版したものの復刊 命の哀しみ喜びを表す絵がよい 題字は丸木位里さん 元本2001年 2003刊2018/10/17
ヒラP@ehon.gohon
4
無実の罪を背負って死罪となった5人の若者。 どうして、村人は人身御供を出さねばならなかったのだろうか。 作者が被差別部落に伝承されている話を基に書いた話は、本文よりも解説にお いて饒舌である。 武士にとって差別民は物同然の存在だったのである。2011/03/29