内容説明
なぜ、英語には冠詞や形式主語(itやthere)があるのに、日本語にはないのであろうか。実は、昔の英語にも冠詞や形式主語がなかったと聞くと驚くかもしれない。助動詞や完了形などの文法現象も同様である。本書では、なぜ英語にこうした現象が出現したかを、「文法化」という新たな視点を通して考察する。英語という言語が、千年以上もの間、したたかに生き抜いてきた姿をご覧頂きたい。
目次
文法化と英語
冠詞の文法化
存在構文におけるthereの文法化
所有格の標識‐’sの文法化
接続詞の文法化
関係代名詞の文法化
再帰代名詞の文化法
助動詞DOの文法化
法助動詞の文法化
不定詞標識toの文法化と準助動詞の発達
進行形の文法化
完了形の文法化
受動態の文法化
形式主語itの文法化
文法化と言語進化
著者等紹介
保坂道雄[ホサカミチオ]
1960年、山梨県生まれ。1988年、日本大学大学院文学研究科英文学専攻後期課程満期退学。1987年、ハーバード大学言語学科客員研究生。2003‐2004年、2012年、ハーバード大学言語学科客員研究員。現在、日本大学文理学部英文学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サアベドラ
29
英語史におけるいわゆる文法化(具体的には冠詞や法助動詞の発達、進行形や完了形の発生など)を文法項目別にコンパクトに整理した本。2014年刊。とっつきやすさで言えば似た趣旨の『歴史的に探る現代の英文法』のほうが読みやすいが、文法化の理論を取り込んだ本書は難しい分より深い洞察を与えてくれる。個人的に特に興味深かったのが法助動詞の文法化の章で、一見雑多に見える助動詞の用法が文法化の理論ですっきり説明されていて感心した。生成文法に苦手意識がない人にはおすすめ。2024/04/13
田中峰和
1
文法化とは、内容語が機能語に変わること。この説明だけでは意味不明だが、意味が抽象化し、語形変化がなくなり、語音が短くなる3つの要素に分類される。英語では、形式主語のThereが代表。「そこに」という意味を失って、There isとかThere areとか「ある」という意味を表す存在文の文頭に来ることを中学英語で習った。本書では昔の英語に、冠詞や形式主語がなかったことも紹介される。時代の経過とともに助動詞や完了形などの文法化現象が起こる。接続詞や関係代名詞、再帰代名詞など文法化のルーツと変化を教えてくれる。2015/02/15
allomorph
0
読みやすく面白かった。2014/12/27
sipsee14
0
生成文法の枠組みから、文が構造上どう変わったかという視点で解説される。補文標識まわりの構造変化が多かった印象。 文法化は語彙的な意味が希薄になり主役から外れていくイメージだが、文構造上・機能のうえではむしろ主要な役割を果たすように変わっているのが面白い。2024/07/09




