内容説明
第1部では、現代言語学の原点であるソシュールの言語学のわかりやすい紹介と、『一般言語学講義』とエングラーの校訂本を精確に読むことでソシュール論の核心をなすラングの本質を明らかにする。第2部では、やさしくみえても特異な文体のために時として不可解なサピアの『言語』を論理的に読み解き、印欧比較言語学の方法論を批判的に展開するサピアの言語史論の全体像を明らかにする。
目次
序論 言語学小史(ソシュール、サピアへの道)
第1部 ソシュールの言語学原理(ソシュールの言語学入門;「ラング(langue)」をめぐって―林哲郎と長嶋善郎
ソシュールの「ラング(langue)」の定義
言語活動における「ラング」の位置)
第2部 サピアの言語史原理(サピアの『言語』(第7章、第8章)―「駆流(drift)」を中心に
サピアの『言語』(第9章)―「言語接触論」の展開)
著者等紹介
三輪伸春[ミワノブハル]
1946年、岐阜県瑞浪市に生まれる。鹿児島大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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宙庭隼人
3
現代言語学までの、言語思想をまとめたもの。最初に序論「言語学小史」で、ソシュールまでの言語学の流れ。第一章「ソシュールの言語学入門」では、メインはソシュールの「ラング」「パロール」とはなにをさすのか、また、今まで誤解した捉え方がされた原因の分析をしている。二項対立についても書いてある。第三章「サピアの『言語』」では、「駆流」「借用」についての記述。『講義』やサピアの著書をまだ読んでないうえに、他の方の意見もあまり知らないので、正しい、間違いは分からない。サピアの研究について、もっと知りたい。2015/03/02
Shiba
1
サピアのいう駆流drift のことをちゃんと知りたくて読みました/言語は見かけ上で他言語からさまざまな借用をするように見えるが、体系における偶然の間隙におさまる要素や、古い音を流用できる要素のみを取り入れるのであって、大きな流れ(駆流)としては言語の音韻・形態のパタンを保存し、それにそぐわない借用はしない/サピアは借用という捉え方に対しかなり否定的(限定的)な立場をとるが、言語によって借用語への寛容度に差があるというのも聞いたことがあり、どうなんでしょうねわたし気になります2023/05/24
susu
0
あまりよろしくない。内容が重複している箇所がいくつかありました。「ヒトが生得的に備えている言語を話す能力」をパロールと述べている(p.80)など、本当にこういう解釈でいいのかと思うところがありました。サピアについてはよかったと思います。2014/07/12
墨桃
0
これまで目にした中で一番わかりやすいソシュールの解説2023/08/14