内容説明
近代日本に存在した「反普遍文法」の系譜。その煽りを受け不当に無視された松下大三郎の文法論。国語の本性を追求した山田孝雄。その個別言語主義と18世紀普遍文法論との意外な類似性。主観を排した近代文法の嚆矢、大槻文彦の日本文典。その大槻文法に垣間見える矛盾した言語観と西洋言語学の関係!斬新な視点から国語学史と言語学史を縦横に論じ、読者を言語研究の世界へ誘う。
目次
第1章 国語学史と言語学史の接点(国語学史における「明治」という時代;落合・小中村『中等教育日本文典』など ほか)
第2章 近代日本における普遍文法の行方(比較言語学と普遍文法;普遍文法論と近代日本の言語研究 ほか)
第3章 国語の特質と普遍文法論(言語の多様性と西洋式日本文典批判;「比較文法論」事始め ほか)
第4章 西洋概念の受容と拡張―助動詞・ヴォイス・口気(大槻文法の位置づけ;大槻文法の遺産 ほか)
第5章 言語学史から見る大槻文彦の言語観(大槻文彦と価値からの独立;国学と国語優秀説 ほか)
著者等紹介
斉木美知世[サイキミチヨ]
日本学術振興会特別研究員などを経て、聖心女子大学、大東文化大学、国学院大学、学習院大学非常勤講師。博士(言語学)
鷲尾龍一[ワシオリュウイチ]
学習院大学教授、筑波大学名誉教授。博士(言語学)。日本言語学会評議員・編集委員。日本エドワード・サピア協会編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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双海(ふたみ)
2
山田孝雄・上田萬年がおもしろい。あと、ソシュールとかサピアなんかも。2013/11/17
endocco
2
こういう視点で富士谷成章を評価することも出来るのか、と、目からウロコが落ちた気分。一般向けなのでやや大雑把な感はぬぐえないが、内容は非常にわかりやすく、論調も穏当でバランスが良い。ヴォイスに関する「脱西洋化」の説は非常に興味深いので、参考文献に挙がっている論文をあたろうと思う。しかし最近、山田孝雄の再評価が(比較的)盛んなのは何故かなあ…2012/09/24
すみ子
0
大学の課題。2013/07/04
Ryu_S
0
タイトルを見て、国語学史をざっと勉強するのにいいかなーと軽い気持ちで読み始めたのだけど、予想以上におもしろかった。(2012年6月に第1版発行だけど)10年前に読みたかった!「もっと知りたい!」と思わせる魅力のある概説書だと思う。勉強しよ~。2013/06/21
nobito
0
<メモ>言語学と国語学を俯瞰した研究史。入門者向け。参考書籍などの情報はないが、注が詳しく、参考書籍情報などもそちらに書かれている事がある。2018/05/10