出版社内容情報
理論言語学が自然言語の統語・意味・形態・音韻の基本的な性質を明らかにしてきた今、言語学者の関心の主軸は、言語間のミクロな変異や同一言語の漸進的な変化の記述と、その原因の探求へと移り始めており、生物学者も、生物進化と言語変化の相同性に着目し始めている.本書は、30人の研究者が、最新の言語理論とコーパスや統計などのツールを使って、言語の変化・変異・獲得・進化の様相の記述と本質の探究を目指す論文集である。
目次
変化・変異・進化の事実に向き合う種々の言語理論―必要なのは対立か、対話か、連携か
1 認知言語学・構文文法・用法基盤モデル(後期近代英語期におけるcramとpackを含む構文の所格交替について;シンガポール英語における時空間メタファー―言語接触学と継承言語学の接点;北琉球沖縄語今帰仁謝名方言における2種類の「私たち」と除括性(clusivity) ほか)
2 生成文法・分散形態論・史的統語論(日韓語の適用形について―補助動詞ヤルとcwu‐taを中心に;移動を表す複合動詞「V+込む」における無他動性と助動詞化;英語史における後置属格の出現と発達について ほか)
3 音韻論・社会言語学・歴史言語学(音変化における通時と共時の接点、及び現代日本語の韻律特徴の変化に関する実証的検討;変調の通時変化と音韻特性―上海語の事例より;コピュラの出現・非出現における言語変化について ほか)
4 進化言語学(併合の漸進進化を巡る考察)
著者等紹介
小川芳樹[オガワヨシキ]
東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、東北大学大学院情報科学研究科教授。専門は、生成文法、形態統語論、史的統語論、文法化、構文化
中山俊秀[ナカヤマトシヒデ]
カリフォルニア大学サンタバーバラ校大学院博士課程修了(Ph.D.言語学)。現在、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。専門は、用法基盤言語学、言語変化・文法化、会話における文法、消滅危機言語の記述・記録・再活性化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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