内容説明
読者諸氏には、本書を通して、今ある理論言語学がどのようにして形づくられ、そして今後理論言語学がどのような方向に進んでいくのか考えてもらいたい。過去ならびに歴史を振り返ることは、今を知り、将来設計を立てる上で何よりも重要である。過去を知るからこそ、未来が見えてくるのである。
目次
第1部 初期理論から障壁理論まで(句構造規則―言語の設計図;構成素―言語の基本単位 ほか)
第2部 経済性理論から極小主義まで(原理・パラメータモデルの問題点―豊かすぎた普遍文法;派生と表示の経済性―諸原理の統合へ ほか)
第3部 認知言語学(アメリカ構造主義―「心」と「意味」の喪失;チョムスキー革命―「心」の回復 ほか)
第4部 形式意味論(自然言語の形式化―モンタギューの企て;可能世界意味論―「いま、ここ」以外の世界 ほか)
第5部 生物言語学(生物言語学の誕生―進化論、失語症、生成文法、統合;言語獲得の生物学的条件―臨界期 ほか)
著者等紹介
畠山雄二[ハタケヤマユウジ]
1966年、浜松生まれ。東北大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士(情報科学)。現在、東京農工大学准教授。専門は理論言語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モリータ
8
◆一度入れた感想が消えてしまった。もう同じこと書くやる気はないので簡潔に。◆第3,5部の認知言語学、生物言語学は面白く読んだ。特に第3部は構造主義言語学→生成文法論・生成意味論からの流れを簡潔にまとめている(第1,2部の生成文法論の箇所にあるべき内容かと)。邦訳含む参考文献も多く親切。◆対して第1,2,4部の生成文法論と形式意味論は学説・理論の内容説明が主。参考文献も第3,5部に比べると少ない。まえがきで編者が歴史観について述べているが、その表れか。「学史」とは何なのか、考えさせられる。2020/07/09
ami
2
ソシュール~アメリカ構造主義言語学~生成文法~認知言語学 初期生成文法~現代生成文法 形式意味論、生物言語学 分かるか分からないかは別として、言語学の分野が今、何をやっているか、何故そんなことをしているかの流れがだいたい掴める。2018/02/14
yasukotta
0
「理論言語学」と言えば生成文法のみを意味するかのように狭い意味でこの用語を使っている人も一部見られます。生成文法が理論言語学で中心的な役割を果たしたことに異論があるわけではありませんが。本書は認知言語学や生物言語学も含んでいるので、なぜか少しだけ安心。(理論)言語学に興味のある人は、本書のまえがきだけでも読んでほしいと思います。