出版社内容情報
【目次】
内容説明
品川の旅籠・紅屋ではたらく料理人・おやすは、女中頭のおしげが紅屋の跡継ぎとして養女に入ると決意したことを喜びつつも、行方知れずの弟の身を案ずるおしげの胸中を思うと、気持ちは複雑だった。一方、横浜生麦村では薩摩藩士が英国人を殺傷する事件が発生。品川も騒然とするある日、おやすは浪人風の男に襲われる。あわやという時、現れた剣の達人に窮地を救われるが、その正体を知っておやすは驚くのだった…。激動の幕末を迎えてなお、安らぎの場を守ろうと懸命に生きる人々を描く大好評シリーズ第十二弾!
著者等紹介
柴田よしき[シバタヨシキ]
東京生まれ。1995年に『RIKO―女神の永遠―』で横溝正史賞を受賞。ジャンルを超えて幅広く意欲作を発表し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
133
激動の幕末、横浜の生麦事件で品川も騒然。おやすは料理に精進するも気が気でない。そんな中、おうめには喜ばしいことがあったのは良かったね。おしげは複雑かもしれないけど、生きてればいいことあるよ。おせいちゃんは自分の将来を考える。とめちゃんの食いっぷりは相変わらずだね。そして、おやすには身の危険。何事もなくて良かったよ。そんなおやすに出会い、再会あり、そして早い別れあり。人生、何があるかわからない。とにかく、紅屋で働くみんなが無事であってほしい。紅屋は誰ひとり欠けてはならいと思いながらの読了。2025/08/20
いつでも母さん
123
おやすが誘拐・・未遂に終わったものの出自に係わるのか?気になる。気になると言えば、歴史的に変換期の日本・・生麦事件だ!いろんな人との出会いが多過ぎるおやす、まだまだこれから波乱があるって事ですね。おあつさまに、としさん、ヘボンさん、お琴には無事に戻ってと願うばかり。お小夜は元気だろうか?そして弟・・あぁ、政さんの出番が少ない(そこ?)気になる事がありすぎで半年待つのが辛いシリーズの第十二弾だった。2025/08/23
タイ子
86
シリーズ第12弾。時は幕末、生麦事件も起こり東も西も揺れ動く日本の体制に庶民たちも巻き込まれていく。現在のように情報網がない時代は噂と予想で不安だっただろうな。「紅屋」の料理人・おやすの周りでも何やらきな臭い匂いが漂い始め…。料理にまっすぐ向き合い、生きて行く決心をしたおやすが何者かに攫われそうになり、それを助けた女剣士。偶然にも同じ長屋に越したばかりの女剣士は京にのぼり日本のために戦う大志を抱き、おやすの料理人を極める夢と重なり2人は友情をはぐくんでいく。おやすの出生に何が隠されてるのか楽しみな次巻。2025/08/22
のぶ
65
今回は生麦事件という幕末の激動の時代背景の中で物語は進みます。品川も騒然とする中、料理屋おやすが浪人風の男に襲われる。あわやというとき、現れた剣の達人に救われるが、その剣士は女性だった。その剣士、お琴との人情話が絡んで安らぎの場を見つけられる。本作は料理の場面は控えめだったけれど、温かい気持ちで読み終えられた。2025/08/23
天の川
57
大きな時代の転換期を迎えている。今回の発端は生麦事件。長い間の鎖国政策が一転、進んだ技術を持った西洋人がやって来たのだから、百人百様の反応は無理からぬこと。世界が見えている者、見ようとしない者。変化を望む者、望まぬ者。軋轢は必至。おやす、春太郎、桔梗、おしげ・・・女達が選ぼうとしている道もそれぞれなるほど納得がいく。そしておやすを窮地から救ってくれた女剣士・琴は…結末を知っているだけに、会津藩士の養子になった勘ちゃん共々とても気になる。弟に会えてよかったね、おやす。でも、あの拐かしは何なのだろう…。2025/08/24