出版社内容情報
絵師見習いのおふゆは、亡き人と遺された人への想いを込めて描く「死絵」に心惹かれながら、師匠・歌川国藤のもと、住み込みで修業を続けていた。
昨年、江戸を襲った大地震の被害は甚大で、板元からの依頼は減り、国藤は弱った体に鞭打って仕事を探しに出かけている。
いまだ町に地震の傷跡が残るある日、同心の梶原がおふゆを訪ねてきた。
薬研堀の長屋で女が殺され、疑わしい男が逃亡しているという。
その男を見つけるため、似顔を描いてほしいというが……。
人生の悲喜をあたたかく包み込む、情感溢れる絵師物語。大好評シリーズ、第四弾。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
119
震災後、おふゆはもちろん、師匠の国藤も稼ぐために小さな仕事でも探し出す。そして、国藤、兄弟子の岩五郎、絵を書くことを見つめ直す機会となる。できることなら、災害のない平和な時に絵と向き合って見つめ直す機会であってほしかった。後に、おふゆも絵と見つめ直す。国藤の弟弟子の国芳も登場。おふゆの好敵手であり友みたいな存在になりそうなおとりも現れ、おふゆの周りはけっこう賑やかだ。おとりの存在によって、おふゆは壁にぶち当たるのか、それとも才能が一気に開花するのか。そして恋愛事情も含めて次作が楽しみだ。2025/07/24
ふわりん
11
女絵師という設定の時代小説は他にもあるけど、私はこのシリーズが好き。テーマがあちこち飛ばずゆったりとおふゆに寄り添って書かれているようで、安心して読めるからだ。今回は絵師としての腕比べをするが、これが将来的におふゆにとっての転機になるんじゃないかなと思う。おとりとは共に描き切磋琢磨しながら成長していく、良きライバルであり友になっていくんだろうな。身内同然とはいえずっと他人の中で生きて来たおふゆに、楽しく嬉しいと感じられる瞬間がもっとたくさんあれば良いのに。寅蔵とはゆっくりでいいから幸せになってほしい。2025/08/19
うさぎや
3
4巻。恋のライバルや女絵師友達(またはライバル?)が登場してなんだかにぎやか。2025/07/15