出版社内容情報
八王子のリユース着物店「本庄の蔵」で着物査定を担当する本庄琴子は、出張買取のため店主・柿彦の運転する車で、横浜に住む日向菊子の家に向かった。
「本庄の蔵では着物についた念を祓ってくれる」という噂が流れており、菊子はそれを聞いて依頼してきたらしい。
着物の記憶が見えることを、柿彦以外には誰にも話したことのない琴子だったが、菊子の家で触れた振袖の強い「意志」に、つい……。
繊細な手仕事で作られた総絞りの振袖が記憶していた恋の物語。
シリーズ第二巻!
内容説明
八王子のリユース着物店「本庄の蔵」で着物査定を担当する本庄琴子は、出張買取のため店主・柿彦の運転する車で、横浜に住む日向菊子の家に向かった。「本庄の蔵では着物についた念を祓ってくれる」という噂が流れており、菊子はそれを聞いて依頼してきたらしい。着物の記憶が見えることを、柿彦以外には誰にも話したことのない琴子だったが、菊子の家で触れた振袖の強い「意志」に、つい…。繊細な手仕事で作られた総絞りの振袖が記憶していた恋の物語。シリーズ第二巻!
著者等紹介
ほしおさなえ[ホシオサナエ]
1964年、東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」で、第38回群像新人文学賞優秀作受賞。16年から刊行の「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、大人気シリーズとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
159
こぎん刺し、菱刺しなど、相変わらず着物の知識はわからない。でも面白いシリーズなのは確か。能力を使いすぎて、琴子の体が弱るのが心配。白髪も増えてほしくない。だけど、琴子の家庭環境を考えると、何とかしてあげたいという気持ちはすごくわかる。能力の使いすぎを心配する柿彦は、琴子に対してどんな想いなんだろう。琴子と柿彦の距離感が心地よくも感じるし苦しくも感じる。今回、依頼した菊子さん、真子さんの振り袖を持って、青森まで墓参りしてほしいな。そして、菜摘さん、幸せにね。うーむ、切なかった。泣けた。2025/06/01
mayu
50
シリーズ2作目。着物のもつ記憶を見ることができる琴子と、そのために消耗する琴子を案じる柿彦。琴子も辛い記憶を抱えていると知れば、何もせずにはいられないのだろう。今回は黒い総絞りの振袖。夢を叶えられる人も、本当に愛する人と結ばれる人も少なくて、どこかで現実と折り合いをつけながら生きている。力はありつつも不器用で夢を諦めた彼と、彼を愛していたけど別の人と生きる道を選んだ彼女。大切だったはずなのに、真っ直ぐだった時代だからこその傷つけあったままの別れが切ない。浄化された着物が、想いが受け継がれ良かったと思う。2025/06/15
楽駿@新潮部
34
品川図書館本。人の思いがこもり、丁寧に作られたものや、長い時を経て使われてきたものには、命が宿っている。そんな思いが、根底に潜んでいるような気がする。ほしお氏の作品には、少なからず、そんな気持ちが漂っている。思いは、人でなくても、物にも宿る。物の思いに耳を傾ける事が、浄化のすべて。言葉を発することのできない物たちの声を聴く。その持ち主の思いを聴く。それは一つの供養。言葉にできなかった思いを聴く。それは救い。このシリーズを読むと、どこか、自分も癒されていく。物の願いを感じる。2025/09/18
らび
28
着物の記憶が見える。のは良いんですが月光荘でもあったことだし、ファンタジーとして成り立つのは分かります。 凄く気になったのが、黒の総絞りの振袖。中でも仰ってたので解説的かな?どんな物か想像しかないので辛口です。総絞りは大変高価なものです。大体が、で、振袖・・黒。正直私は怖かったです。振袖って未婚の女性が着るものです。基本。10代20代で着るには勇気がいるんじゃないかな?現代ではなく昔、昔ならありなのか?詳しくはないけど自分なら決して選ばない。作品には関係ないですが違和感がありましたね。総絞りは美しいです。2025/09/02
anne@灯れ松明の火
28
シリーズ2。隣市分館にしかなく、どうしようかなと思っていたが、読友さんの感想を読み、予約。リユース着物店で査定をする琴子は、着物の記憶が見える。今回は、総絞りの振袖の夢を見る。娘の成人を祝い、幸せな行く末を願う母心。節目節目にその振袖まとった娘は、何を思ったのか……? 大量生産の洋服とは違った一点ものの絞りの着物。「心と身体を包んで、守ってくれる」もの。日本伝統の着物の良さを改めて感じさせてくれるシリーズだ。1とは、琴子の考え方に変化が見られた。次はどうなっていくのだろう? 2025/08/29