出版社内容情報
千寿がお花に求婚した。
その様子を目撃してしまったおかやの甲高い叫び声は町内に隈なく響き渡り、噂は「ぜんや」の常連客や熊吉の耳にも届いていた。
お妙の出産も近づき、体調を気遣った料理で無事の出産を祈るお花と只次郎。
そして千寿の真っ直ぐな想いを知った熊吉は……。
甘辛い眼張の煮つけ、葱をたっぷり載せた鰻鍋、桜の塩漬けを散らした五目寿司、身がふわふわの鯰の味噌汁。
美味しい傑作時代小説、第八弾!
内容説明
千寿がお花に求婚した。その様子を目撃してしまったおかやの甲高い叫び声は町内に隈なく響き渡り、噂は「ぜんや」の常連客や熊吉の耳にも届いていた。お妙の出産も近づき、体調を気遣った料理で無事の出産を祈るお花と只次郎。そして千寿の真っ直ぐな想いを知った熊吉は…。甘辛い眼張の煮つけ、葱をたっぷり載せた鰻鍋、桜の塩漬けを散らした五目寿司、身がふわふわの鯰の味噌汁。美味しい傑作時代小説、第八弾!
著者等紹介
坂井希久子[サカイキクコ]
1977年和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。2008年「虫のいどころ」で第88回オール讀物新人賞を受賞。2015年『ヒーローインタビュー』が「本の雑誌増刊 おすすめ文庫王国2016」のエンターテインメント部門第1位に選ばれる。2017年『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』で第6回歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
142
お花ちゃん、モテモテ。モテ期かな(笑)。千寿、留吉、そして熊吉も自分で認めたくなかったお花に対して抱いていた恋心。千寿が好きなおかやも絡み、恋の三角、四角関係。どうなることやら。熊吉、自分が決めた道とはいえまだ若い。やり直しもきくのだから、よく考えて頑張ってほしいよ。ぜんやでは、お花が孤軍奮闘。お花ちゃん、只次郎に「旨あい!」と言わせるとは、料理の腕は格段に上がってるね。そして、只次郎はというと、もうとにかくお妙さんのことで、頭がいっぱい。そりゃそうなるか(笑)。というわけで、お妙さん、おめでとう!2025/05/26
いつでも母さん
135
居酒屋ぜんや新シリーズ第8弾!新シリーズになってから展開にモヤモヤして、せっかちな私は色々と気になって仕方がない(汗)まぁ、お妙さんと只次郎の時だってじりじりとした私なのだから、ここはお花と修行中の熊吉・・若者たちの心の揺れをひとつ、広い気持ちで見守ってやろうではないか!(←そんな偉そうに)今回は漸う「桜太」誕生おめでとう。でも、産後の肥立ちが悪いお妙が心配。次は元気なおっかさんとして戻って欲しいな。2025/06/02
おしゃべりメガネ
92
シリーズ第8弾。前シリーズが全10作だったので、気がつけばだいぶ近づいてきたんだなと。居酒屋『ぜんや』の若おかみになるべく日々精進している「お花」と薬屋の奉公人「熊吉」の距離感は相変わらず微妙な感じに。それでもこれまでよりは幾分近づいたかなと。「お妙」さんの出産を控え、少し慌ただしくなる『ぜんや』の常連メンバーたち。前作で「お花」に想いを伝えた「千寿」と「熊吉」のやりとりもなんだか微笑ましく。それにしても「おかや」はやっぱりめんどくさいですね。終盤「熊吉」に訪れた試練に果たして今後どうなるのか不安です。2025/06/14
タイ子
81
シリーズ第8弾。熊吉中心に展開する今作。子供が大人になる段階で成長していく心と体。体は自然に大きくなるけど心はややこしい。幼馴染同士が惚れたはれたと何角関係にもなると友情にヒビが入ったり、壊れてしまう時がある。おかやに至っては大好きな千寿がお花に求婚した場面を目撃したものだから大変。でも、お花は「ぜんや」の女将になるため修行中。千寿は酒問屋の跡取息子、お嫁になんて行けやしない。お花を好きな熊吉は見守るのみ。大人になったなぁ。そして、高齢出産のお妙の出産。元気なお妙さんが戻りますように。2025/05/22
のぶ
59
本作のメインストーリーは、前作で懐妊したお妙の出産の話。当時のお産は大変だったのだろうと想像できる。いろいろ周囲がバタバタしている姿が、この人情シリーズらしい雰囲気を醸し出していた。熊吉の扱う薬が、本作でもたくさん登場して、漢方の知識も豊かになったように感じられた。お花に恋の予感を感じさせたものの大きな進展はなかったが、ぜんやに新しい命が誕生して、これからのシリーズの展開からますます目が離せなくなった。2025/05/22