出版社内容情報
あたし、高井南海は超能力者!今までは階段やらアチコチで転ぶために「粗忽姫」と呼ばれていたけど、実は転ぶことでこの世界の各所にある“空間の亀裂”を修復していたのだ!
多くの人々が意図せずひっかかり、事故の原因となっていた見えない“空間の亀裂”。
それを靄として感知できる御曹司の超能力者・板橋さんと組んで、あたしは世界を救うために働きだした!
仕事に恋愛、そして世界を良くしたいと願う女性の生き方──人気作家が描く、ちょっと不思議なSF超能力ストーリー。
内容説明
あたし、高井南海は超能力者!今までは階段やらアチコチで転ぶために「粗忽姫」と呼ばれていたけど、実は転ぶことでこの世界の各所にある“空間の亀裂”を修復していたのだ!多くの人々が意図せずひっかかり、事故の原因となっていた見えない“空間の亀裂”。それを靄として感知できる御曹司の超能力者・板橋さんと組んで、あたしは世界を救うために働きだした!仕事に恋愛、そして世界を良くしたいと願う女性の生き方―人気作家が描く、ちょっと不思議なSF超能力ストーリー。
著者等紹介
新井素子[アライモトコ]
1960年東京都生まれ。立教大学独文科卒業。77年『あたしの中の…』が奇想天外SF新人賞佳作入選し、デビュー。81年『グリーン・レクイエム』で、82年『ネプチューン』で連続して星雲賞を受賞、99年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
芳樹
31
ン十年ぶりの新井作品。主人公の一人称「あたし」と、読点を多用する独特の表現法が不変なことに安心感を抱く。主人公の南海は頻繁に階段から落下するのは実は目に見えない空間の亀裂に引っかかるという超能力のせい。そんな彼女がある日知り合った、亀裂を「靄」として認識できる板橋とともに靄を消去する都内行脚に出るというお話なのだけど、靄の中では南海のもう一つの能力が働くというのがキモ。その能力を巡るやりとりを通じ、本作が単に超能力SFエンタメだけでなく、「命とは」という哲学的な問いにも繋がっていくことに感銘を受けました。2024/03/20
よっち
28
常に転んでばかりで周囲に粗忽姫と呼ばれる高井南海。その特異体質に気づいた御曹司の超能力者・板橋さんと組み、「世界と人々を救う」仕事に乗り出す現代ファンタジー。実は転ぶことでこの空間の各所にあるヒビを修復していたことを、そのヒビを靄として検知できる板橋さんに教えてもらい、副作用で物体を治す力を利用する「修復課」を立ち上げる二人。練馬区・板橋区あたりの靄を探す展開は傍から見たら怪しさ満載で、何でも直していけばそういう発想になるよな…とも思いましたけど、着想から結末まで著者さんらしさがよく出ていると思いました。2024/01/27
くさてる
19
新井素子とはコバルト文庫時代からのおつきあいなのだけど、近年の作はひとつひとつ、慄くような思いで読んでいる。社会に出ないまま年を重ねた作家が「社会」を書くときに現れる途方もないリアリティの無さと、それをなんとかすべく懸命に考えたであろう理屈のまた、途方もなさに。つじつまが合わないどころではない、現実に通用するはずがないこの話もまたその例に漏れないのだけど、困ったことに、それでも最後まで読ませてしまうのだ。いやもう稀有な作家。ほんとうに無茶苦茶だけど、新井素子にしか書けない話です。参った。2024/05/06
もふもふ
4
久しぶりの素子節全開! あぁコレコレ!と思いつつ、ちょっとくどさを感じてしまった。 よくこける人、練馬をよく歩く人、今までの素子さんのエッセイからご本人と重なるところを思い出しながら、ニコニコ読んだ。2024/02/08
猿山リム
3
学生の頃沢山読んだ作家の新作を見かけ手に取った。 タイトルの印象から、日常系お仕事小説の系譜かなと思っていたんだけど…そうでした…SF作家さんでした。 特殊な能力のある主人公が、その特異を活かした「お仕事」をする構造。 SFではあるが、超能力ということも有り「少し不思議」寄り。 能力の検証など、しっかりした考察は行われはするが、読者視点で何が何処まで元通りなのかの疑問が残らなきでもない。 ノートはまっ更にはならないのかとか。 その辺りをモヤッとさせたままでも巧みに仕上げるベテランの妙は光る。2025/02/20