出版社内容情報
鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。
そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚がそのお店とビルを相続することになり、単身上京した。
一方、珊瑚の親戚で国文科の大学院生・美希喜は、生前滋郎の元に通っていたことから、素人の珊瑚の手伝いをすることに・・・・・・。
カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語、早くも文庫化。
(巻末特別対談・片桐はいり×原田ひ香)
内容説明
鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚がそのお店とビルを相続することになり、単身上京した。一方、珊瑚の親戚で国文科の大学院生・美希喜は、生前滋郎の元に通っていたことから、素人の珊瑚の手伝いをすることに…。カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語、早くも文庫化。(巻末特別対談・片桐はいり×原田ひ香)
著者等紹介
原田ひ香[ハラダヒカ]
2005年「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞、07年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
491
ふだんあまり読まないジャンル。近所の本屋でオススメされていたので気になって手にとってみた。東京在住の期間が10年以上あるのに、神保町には一、二回程度しか行った記憶がなく、物語内に登場するお店もサッパリわからなかった。それでも清々しい世界観には浸って読めた。何気ない出来事や人との出会いを、本や食べ物に絡めて綴っていく小品のような逸話たちが本当に心地よく、巡り会う人々にもまったく毒気がない。不快指数を限りなく下げてホッコリさせてみました、みたいな清涼剤本。ボンディのカレーが一番そそられた。2024/05/14
しんごろ
342
神保町で小さな古書店を営んでた兄の慈郎が急逝して、その店とビルを相続することになり、帯広から単身上京してきた珊瑚さを。手伝うことになった親戚の美希喜と供に、あーだこーだする話。店のカレー、ピロシキなどをテイクアウトしたら、なぜが足りなくなるのは笑えた。一話につき一冊の本の紹介。これが良い。いろいろな本の紹介に話を費やしてないから、古書店の雰囲気と時間の流れを感じながら物語の世界に入り込める。本屋さんや古本屋さんにまつわる作品はいろいろ読んだけど、かなり良かった。神保町でいつか古書店巡りしたい。2023/10/14
さてさて
323
『鷹島古書店』を滋郎に代わって営む珊瑚と大学院に通いながら大叔母の珊瑚を手伝う美希喜の日常がある意味淡々と描かれていくこの作品。そこには”本 × 食”を絶妙にコンビネーションしたからこそ納得できる『古書があふれていて、おいしいものがあふれていて』という書名の意味に感じ入る優しさに溢れた物語が描かれていました。リアル世界に刊行されている本がそのまま紹介されるこの作品。美味しそうな”食”の描写に食欲が刺激されるこの作品。“本”が大好きで、”食”も大好きで…というそんなあなたにぜひご賞味いただきたい作品でした。2023/10/17
へくとぱすかる
216
古書店を経営していくことになった、亡くなった店主の妹とその甥の子である二人の女性。全体を流れる温かいムードは、読み進めていくにしたがって、味わいの深さを増してくる。珊瑚さん視点の文章と美希喜さん視点の文章とが交錯しながらドラマは進んでいく。穏やかな日々の中にも、さまざまな人間模様が現れては、世界の中に織り込まれていく。古本そのものをめぐる話もあるけれど、やはり生活の中の人間関係がおもしろい。書店ビルの二階のテナントである出版社の社長・辻堂と営業の花村がいい味を出す役を務めている。幸福な物語。読後感も。2024/10/11
ノンケ女医長
205
表紙に描かれる、鷹島古書店。いい本が安く良心的と、文学部の教授が気に入っている。長年、大切に書店を育ててきた鷹島滋郎が、亡くなった。店の行く末を懸念した親戚が、遠く北海道から神保町まで訪れる。他界した後にようやく関わりを持とうとする血縁に、故人の大切な財産や思い出が浸食されていくようで、どうも好きな展開ではなかった。いろいろなことを知られてしまって、滋郎は天国でどう思っているのだろうか。配慮、遠慮、気遣い。滋郎の気苦労が、遺族によって台無しにされたような気がした。2023/10/22